失ってしまったモフモフへの感謝の気持ちと言葉にできない想いを絵にしました。

Tokyo Artist Book Fair 2021の作品紹介の途中ですが、全然関係ない新作を投稿します。

描いてすぐに投稿するのが良さそう(記憶を保持できないため)とわかったので、だんだんリズムをつくっていけたらと思っています。

試行錯誤の末、アンサーソングのような、天から愛が降り注いでいるようなそんな作品になりました。想いを伝えて、それが戻って来た感じです。

目次

制作の経緯など

きっかけ

きっかけは、モフでした。私には、大事なモフが居ました。ちいさなちいさなモフでした。それを失くしてしまいました。私の不注意で失ってしまいました。それに気づいた時、愕然とし、呆然としました。自分の迂闊さを責めたりしました。とても悲しくて、しばらく何もできませんでした。

モフにはちゃんと名前もありましたが、今ここではモフと呼んでおきます。

そのモフは、生き物ではありませんでした。他者から見たら大したことはないかもしれません。しかし、私にとっては一大事でした。折に触れ、撫で撫でし、心の平安を得ていたのですから・・・。代わりの何かを買えば済む、そういう問題でもありませんでした。あのモフは、世界でたったひとつ(私に言わせると「ひとり」)のモフだったのです。

もうひとつのきっかけ

悲嘆に暮れていたら、思いがけないプレゼントが届きました。ターナー色彩さんの「U-35」というアクリル絵具です。昨年末発売され、気になりつつも購入を見送っていました。併用はダメと思っていましたし、スペースなどの問題もあり、自分自身もお客様に説明するときなどに混乱しそうだったからです。

実は、こちらのコミュニティに登録したのですが、すっかり忘れていました。

年齢は気にせず申し込みました。プレゼントは特に期待していませんでした。そんなところに太っ腹な贈り物が届き、かなりのサプライズ感で一気に元気が出ました。ありがとうございます。ちょうどキャンペーンが実施されていたようで、私はそれに気づいていませんでした。かなりラッキーです。

こういうのは、何も使わずに後生大事にしまい込んでおくのがこれまでの私でした。しかし、何か描こうと思いました。アートの神様が、ちょっとこれ使ってみて!と私に渡してくれた気がしました。5色セットなので、このまま描くか、苦手な混色にチャレンジするか・・・。しかし、何を描こう?

一旦、絵具たちに挨拶しようと思い、キナクリドンマゼンタ、ハンザイエローオペーク、フタロブルー(グリーンシェード)を画面に広げてみました。絵具って相変わらず舌嚙みそうな名前です。必殺技っぽさもあります。「キナクリドオオオオン!マゼンタァァァァッ!!!」とかって。なんか放ってそうです。これまで使用してきた同名のリキテックスさんのとどう違うのか興味深々です。ハンザイエローオペーク、名前にオペークとか入っててかなり隠ぺい力高そうです。勝手な想像。フタロブルーはグリーンシェードなのが嬉しかったです。どんな色になるんだろう?ドキドキしながら思いつくままに塗り広げてみました。
思いっきり描きたくて、アルシュのピンク(26cm×36cm)を使用しました。一時期ほったらかしだったアルシュとは最近交流が増えてきて、水張りをしたり、ミルクペイントの色見本をつくったりしています。なんだか嬉しいです。

うおお!綺麗!

アルシュも嬉しそうです。

オレンジをつくれた瞬間がとりわけ感動的でした。描いているうちに消えてしまったのですが・・・。しかもそのオレンジは偶然できました。混色は苦手と思い、たいていは混色しない描き方をしていたのですが、混色は楽しいかもしれないと思えてきました。狙って色をつくれなくても、偶然できた色を楽しむという混色もありなのかもしれないと思えました。

石の粉が混入した可能性は、このひとつ前にミルクペイントの色見本をつくっていたからです。それをブロックから剥がして(剥がすのもずいぶん慣れてきました)U-35さんとの初めましての儀式をしました。さらに余談ですが、水張りをすると画面が増えて便利だということに気づきました。水張りをしたものは別件で使用中なのですが、水張りをすることによりブロックのほうは新しい画面がまた出てくるのでそれを使えます。今回はもうとにかく描きたかったので水張りはしませんでした。後先考えず水を多用したため、一旦ベコベコになりましたが、乾くと平坦になりました。

水で薄くなったキナクリドンマゼンタが特に綺麗だと思いました。

ここで終わりにしないで、もう少し何か描きたい気がしました。さて、何を描こう?

あのモフを描こう

U-35の登場により一時的に元気になったものの、実はモフを失った悲しみから立ち直っていなかったことに気づいた私は、自分でグリーフケアをしてみることにしました。自分自身がお客様です。オーダーでペットの肖像画とか、よくあるパターンらしいのですが、私はあのモフをそれらしく描くことはできそうにありませんでした。思い通りに描けないとフラストレーションが溜まりますし、ちっとも絵が完成しません。一番大事なのは、楽しみながら続けること。

というわけで、自分なりにモフを描くことにしました。

ただただ撫でる、という身体の動きを絵にする

ピッタリの表現を思いつかないので、さしあたり、こう↑します。筆とかで描くんだから、絵っていうのは結局身体の動き(と道具を組み合わせたもの)が絵になってるじゃないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうです。そうなんですが・・・

今回の作品は、特定のモチーフを描くというものではなく、身体の動きそのものがモチーフといった感じです。心の動きも描いているので、形のないものが形になるというか・・・

私はあのモフを撫でるつもりで筆を動かしました。何度も何度も、撫でました。途中で色んな想いが浮かび上がり、消えていきました。ひたすら撫でたら、大丈夫になった気がしました。あのモフがそばに居て、制作を応援してくれているような気がしました。とてもあたたかい体験でした。いつだってこうして交流したらいいんだと思えました。

天然石の粉については、迷いましたが別の機会に使用することにします。

最近、私のサグラダ・ファミリアが増えつつあり、未完了感も重くのしかかってきていました(投稿出来ていないのもたくさんありますし、制作が進んでいません・・・)。心の健康にも良くないと思ったので、これはこれで完了とし次に進むことにしました。

タイトルは、色々悩んだのですが「いつでもいっしょ」としました。

後日、同じ描き方で天然石の粉ありバージョンを制作するかもしれません。あるいはしないかもしれません。

この描き方は、色の組み合わせや筆などを何を使うかによってかなり色々できる気がしました。しかも、何も考えず想うだけでただただ描けるところが気に入っています。あのモフの喪失により、新しい描き方を見つけることができ、当時はとても悲しかったのですが、これで良かったのかもしれないと思いました。白黒ええよんです。

それから、下の層をチラリと見せつつ上に塗っていくというのをいい感じにできるようになりたいと常々思っており、今回その課題にも取り組むことが出来嬉しかったです。角度によって金色が多かったりカラフルだったり色んな見え方になる不思議な絵ができました。

ターナーさんの金色も気になりますが、どんどん増えてもあれなので、一旦今持っている分を使い、徐々に移行して行こうかしらとも思い始めました。使い切らないと、未完了感がなんだか・・・。

実は、リキテックスさんの絵具は、たまに臭い時があり、ちょっとストレスが生じています。リキテックスプライムのマットジェルのようにほぼ無臭のもありますが・・・。あくまでも私の最近の感じ方なので、もしかしたら今後私の受け取り方が変わったら感想も変わるかもしれません。あるいはちょっとくらい臭くてもリキテックスが一番好きと思えたら、リキテックスで描き続けるかもしれません。今のところ、一番とは言えません。なぜならほぼリキテックスしか使ったことが無く、比較が難しいからです。

そもそもなぜリキテックスなのかと言うと、私の地域でアクリル絵の具を扱っている画材屋さんにあった唯一のアクリル絵の具(ガッシュじゃない方)がリキテックスだったからです。そのお店のイチオシ!というわけではありませんが、私がガッシュじゃない方を必要としていた為、一択となりました。ネットでオススメの絵具と言っている人も居ました(ポジショントークかもしれませんが、たいていはポジショントークで、それぞれの人にとっての良し悪しがあるのだと思います。たまたま合ったから、それを応援していて、ポジショントークになるのは仕方がないことかもしれません)し、ありかもしれないと思い、実際の使用を通して自分との相性を確認することにしたのでした。

色にもよるのかもしれません。例えば今回使用したリキテックスプライムのブライトゴールドは、色としてはとても好きで、今回の気分にもとても合っていたので選択したのですが、途中でうっとなる瞬間がありました。チューブのを筆にとってひたすら画面に重ねていったので、チューブが近すぎたのかもしれませんが・・・。

逆に、ターナーさんのでも臭いのはあるのかもしれません。まだミルクペイントとU-35の5色セットだけなので全部大丈夫とは言えません。ミルクペイントとU-35はとても優しい感じで仲良くできそうです。どちらかといえば、U-35のほうがほぼ臭わない気がします。ミルクペイントはペンキにしては臭わないという感じです。臭うのですが、リキテックスとにおい方がちょっと違うというか・・・。ニオイ(というかにおわなさ)に関してはU-35のほうが好きです。時間が経つと変わったりもするかもしれません。
この辺りも実際に使用してみて相性を確かめていくのがいいのかもしれないと思っています。だんだん、スペースの問題も大丈夫そうな気がしてきました。やはり、自分の好きな絵具で描くのが一番です。私の大好きなストリングジェルメディウム(これも最近臭気が気になりだしました)に似た製品もターナーさんはお持ちのようで、そちらも興味津々です。ネットだと嗅いでから買うわけにもいかず・・・。それに、先ほどの繰り返しになりますが時間が経つとニオイが変わる場合もあるようなので・・・。やはり実際しばらく使ってみるしかない、とこれを書きつつ自分に言い聞かせたのでした。

初めて複数メーカーの絵具を併用

最近、複数メーカーの絵具の併用を始めました。ターナー色彩さんのミルクペイントを使い始めた頃からです。色見本の制作で、天然石粉末の定着にリキテックスさんの画材を使用しました。

5年後10年後など長い期間で見たらどうなるかわかりませんが、今のところ剥落などは起きていません。平気な顔でくっついています。

というわけで、併用を解禁しました。もしかしたら、顧客の囲い込みのためにお互い「使っちゃダメ」と言おうと申し合わせた(あとは、同じメーカーでもシリーズ毎に揃えないといけない、例えばミルクペイントの上にアクリルガッシュはOKでガッシュじゃないアクリル絵の具はNGなど)のかもしれないと思った瞬間もありました。

とはいえ、実際、作品の変容防止の観点から併用が推奨されない場合もあるかもしれない(アクリル絵の具と言ってもそれぞれ細かい部分が異なるらしいのです)ので、これはもう、自分で実験してみるしかないと思いました。あるいは、変容の過程も作品とし、敢えて使用するか・・・。

作品としては、併用は今回が初めてです。

実際描いてみて、案外大丈夫かもしれないという気持ちが強くなりました。今まで色々見聞きするうちに複数メーカーの画材を同じ作品に使用するのはいけないと思うようになっていたのもあり、今のところ、重ねるだけで混ぜはしないようにしています。そのうち、混ぜても平気とか言い出すかもしれません。
あと、ひび割れや剥落、変色などを意図的につくりたい時に便利かもしれないと思ったりしています。しかし、これも意図したとおりにするのは逆に難しそうな気もします。偶発的なものを楽しむ分にはいいかもしれません。してみたいことがまた増えました・・・。

ありがとうございます。それでは、また。

その後、額装&撮影していただきました。

埼玉県熊谷市のアルス画房さんに、額装と撮影をしていただきました。

このときの話は、別の記事で詳しく書きたいです。書けたら書きます。ちょっともう、色々ありすぎて、何が何だか。

とにもかくにも、ありがとうございます。

ご紹介、ありがとうございます。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

目次