M15の木製パネルにチャレンジ。ミクストメディア「山岳地帯の詩2022」

これは、制作時の記録です。どことなく手帳類の様相を呈していると思います。誰にも見せない前提で書いたわけではないのですが・・・。ひたすらそのときのことを記録していったので、読み手への配慮が少な目です。

noteにちょっと読みやすいのを書きました。

駆け足の動画を投稿しました。BGMが素敵なので是非お聴きください。


本編はここからです。


2022年9月の館山の個展の制作では、作品の大きさの記録も更新されました。今まではF8(455×380mm)が最大でした。今回はなんとM15(652×455mm)。

その後、三角たちを・・・

そして、下地は昨年から仲良くしているパールホワイトさんにしました。

キラキラの下地の上にリキテックスリキッドを垂らしたらどうなるのか興味がありました。アクリル絵具は乾くと耐水性になるのですが、アクリル絵具同士はとけてくっついてしまいます。上から塗ると、下の色が出てくることも。塗り方にもよりますが。これはとても面白いと私は思っていて、狙ってできるようになりたいことのひとつです。

融けなかったとしてもキラキラが透けて見えるのも楽しそうです。昨年、パールホワイトの上に透明絵具を重ねてとても楽しかった記憶があり、再度、今度は支持体をかえて制作してみたいと思いました。かつては紙でした。

今回、ハードエッジを得るために画面を平らにしたいと思っていたのですが、私は平らにするのはとても苦手で、木製パネルそのままの状態が最も平らなのではと思いました。ただ、そのままだと木目に沿って液体が移動してしまい、綺麗な輪郭はできないのではと思いました。木に染み込んでしまうことも考えられました。ハードエッジは、水を吸い込まない平らなところだとうまくいきそうです。やはり下地は必要だと思いました。灰汁の出にくいシナベニヤを使用しているのですが、灰汁は心配でしたが、水も使ってみました。普段は、諸事情により水を使わないで描くことが多いです。水を使った方が絵具の伸びが良くなりますし、平らな画面をつくりやすいのではと思いました。パールホワイトは半透明なので、かねてからしたいと思っていた木目を活かした制作をできる可能性もありました。今回のM15の木製パネルは、売り場で歪みのないもののうち、木目が最も気に入ったものを選びました。木目のことを思いつく前ですが・・・。

明日が待ちきれなくて、軽く塗りました。

その後・・・写真だとあまり変わらないのですが、実物はけっこう違います。

当初の予定では、ブラックジェッソで山と同じ色にするつもりでした。方法として思いついたのは、ステンシルのような感じでそっとそっとトントンしていくものでした。絵具を塗るのは朝がいいです。なぜなら、夜には乾くからです。乾くと、画面を立てかけられるからです。専有面積がかなり違います。

けれども、だいたいの様子をつかみたくなって夜に塗ってしまったのでした。ダーマトグラフを使いました。色鉛筆なら、乾燥時間はゼロですから。

その後、木炭がなんだか楽しくて、こんな感じにしました。

翌日、さらに進めました。

前夜の流れ星のしっぽの色鉛筆がちょっとやわらぎました。そろそろついにリキテックスリキッドを?

夕方ごろから始めてしまいました。しばらく眠らないでおけば大丈夫かもしれないと思いました。とにかくつくってみたかったのです。夜の遅い時間には、傾けても大丈夫なくらいになるでしょう。そうしたら、眠る予定です。今日は、これからオリジナル支持体の世話もありますし、他にも色々あり、まだ眠らないでしょうからちょうどいいのです。秘伝のタレの乾き具合から推測しました。

・・・その後、乾燥にかなり時間がかかり、真夜中まで起きていることにしました。やはり、ポタポタ画法は午前中にしようと思いました。するともう、すべてが止まってしまったりしますが・・・(水平な場所が必要なので・・・)。場所をなんとか確保し、小さ目の作品を乾燥中に制作しようと思いました。

とにもかくにも、乾きつつあり嬉しいです。綺麗な跡が出てきました。早く次を重ねたい!しかし待ちます。

日付が変わっても、乾きそうになかったので(写真に入った部分の他に、手ごわいのがひとり居て、なかなか乾きそうにありませんでした)我慢比べをしているよりは、椅子で眠ろうと思いました。一旦、眠り始めたのですが、ふと、このままではエコノミークラス症候群になるのではと思いました。そこで、なんとか場所を確保することに。M15の画面を動かしたくありませんでしたが、水平を保ちつつそっと移動させました。なんだか『世界のどこかの落ちそうで落ちないさんたち』みたいになりましたが、とにかく、私は横になって眠る場所を手に入れました。2時を過ぎていた気がします。眠気を我慢してずっと起きている時のあの感じになっていました。睡眠のサイクルを変えるのはなかなか難しいので、やはり午前中にポタポタしようと決めました。

翌朝、大脱走の形跡は見られず、乾いていました。緑系を追加しました。眠る前は、お花の中心に黄色系をと思っていたのですが、いつの間にか緑を追加していました。

2回目のポタポタでは、既存のハードエッジなどに沿って液体が移動することがわかりました。もちろんこれには、水の量や面積、傾き具合なども関係していそうです。わりと丸いままのもあるからです。最初は丸だったのにだんだん形が変わったりしました。今回はもう、液体たちに描画を任せてどんな絵になるか楽しみにしようと思いました。3回目については、邪道かもしれませんが、予め縁を描いておき形を決められるか実験しようと思いました。ハードエッジくらいの微妙な凹凸を伝って移動するわけですから、予め凹凸をつくっておけばそこを伝うかもと思ったのです。しかし、ハードエッジの凹凸を乗り越えている部分もあり、賭けだと思いました。

翌日も午前中にできました。

午後、だいたい乾いてきたので、明日の仕込みをしました。再び金色の丸を。今回はリッチゴールド。崖の処理がうまくいったので嬉しくなり、明日は角(2辺が崖)に挑戦。昨年のキャンバスでは、崖に苦戦した記憶があります。どこまで大丈夫かわからず、控え目にしてしまいました。今回は、ギリギリまで行ってみましたが、垂れることはありませんでした。木製パネル、なんだか好きです。面取りしてなかったのがかえって良かったのかもしれません。

記録のためにスクロールするのが大変になってきました。
ここまでお読みくださった方、本当にありがとうございます。これからも続きます。

明日も金色の輪を併用することにしました。それから、かき混ぜ大作戦。今まで、リキテックスリキッドを垂らしたら水を垂らして動かしていたのですが(リキテックスリキッドを垂らした時も動きはありますが、ほぼない時もあります)もしかして、かき混ぜたほうが綺麗なエッジができるのではと思ったのです。それは今日、金色の輪とエッジの隙間を調整したときに思いました。というわけで、明日試してみます。そもそも、ハードエッジは、リキテックスリキッド専用の技法ではなく、元々水彩で均一に溶かれた絵具を塗っているはずなのです。私は昨年の方法を再度と思っていたのですが・・・。そして、今日は、水が多すぎる(ハードエッジは水を多めに使うのがミソです)かもしれないと思い、最初は少な目に、そして少し乾燥してから色の素を動かすために加水という方法を試しました。果たして意図しないエリアまで液体が“侵出”することは避けられました。しかし、少し乾燥した頃には水際も後退しているので、都合が悪いのです。もう、エッジが形成されてしまっている場合もあります。それに、エッジをつくってほしいところまで色の素が到達していない部分もありました。自分の描きたいところに水際がある時に、既に顔料が均一に液体中に存在していることが大事だと思いました。今までかき混ぜなかったのは、かき混ぜるとその分、画面に残る色の素が減ってしまうからでもありますが、ゆっくりゆっくり移動していく色たちを眺めるのが好きだったからでもあります

明日も金色の輪を併用することにしました。それから、かき混ぜ大作戦。今まで、リキテックスリキッドを垂らしたら水を垂らして動かしていたのですが(リキテックスリキッドを垂らした時も動きはありますが、ほぼない時もあります)もしかして、かき混ぜたほうが綺麗なエッジができるのではと思ったのです。それは今日、金色の輪とエッジの隙間を調整したときに思いました。というわけで、明日試してみます。そもそも、ハードエッジは、リキテックスリキッド専用の技法ではなく、元々水彩で均一に溶かれた絵具を塗っているはずなのです。私は昨年の方法を再度と思っていたのですが・・・。そして、今日は、水が多すぎる(ハードエッジは水を多めに使うのがミソですが、私が今回使っているのはリキテックスリキッドなので元々水っぽい)かもしれないと思い、最初は少な目に、そして少し乾燥してから色の素を動かすために加水という方法を試しました。果たして意図しないエリアまで液体が“侵出”することは避けられました。しかし、少し乾燥した頃には水際も後退しているので、都合が悪いのです。もう、エッジが形成されてしまっている場合もあります。それに、エッジをつくってほしいところまで色の素が到達していない部分もありました。自分の描きたいところに水際がある時に、既に顔料が均一に液体中に存在していることが大事だと思いました。今までかき混ぜなかったのは、かき混ぜるとその分、画面に残る色の素が減ってしまうからでもありますが、ゆっくりゆっくり移動していく色たちを眺めるのが好きだったからでもあります。

4回目も午前中にできました。

別のモードで撮影。確か、雪景色のです。かき混ぜ大作戦も、功を奏したようです。今回は水を少な目にしたせいか、しっぽの境目の流出が少な目でした。この辺り、面白いと思っていたのですが・・・。色んなパターンを実験できて嬉しいです。それに、だんだん形になってきて嬉しいです。シンプルなままでおしまいにしても良かったかも知れないと思うこともありました。しかし、昨年のを今一度別の形でしてみたかったですし、こうしてできて良かったです。今回選択した技法は、かなり面倒ですが、これからも少しずつ重ねていこうと思いました。今週中には終わらせたい気もしています。

そして、明日の準備。

翌日午前中。

トランスペアレントローアンバー、トランスペアレントバーントアンバー、トランスペアレントローシェンナ、トランスペアレントバーントシェンナの4種類を使用しました。やはり私はトランスペアレントローアンバーが最も好きだと思いました。この色は、アクリル画を始めた頃に画材屋さんの棚でどの色を買おうかうんと悩んでなんとなく惹かれて買ったら大好きだと思った色です(パッケージの色は画面上の色と違うので、個々人の塗り方にもよるので、実際使ってみないとどんな色かはわかりません)。今でも好きだとわかってなんだか嬉しかったです。

そして、2つのシェンナは、既に使用した黄色とオレンジとちょっと違うのですがあまりかわりませんでした。黄色とオレンジはもうあまり増やしたくなかったので、結局アンバー2種を混ぜました。一部混ぜないで残したものもありました。実はまだ使用していない黄色と赤もあるのですが、これ以上増えるのはなんだか違う気がしましたし、別の画材も試したくて仕方がないので、液体の力を借りたハードエッジによる描画は以上としました。こちらの作品は5月中の完成を目指しています。

午前中、早めに取り掛かることができ、順調に進んだので、午後の早いうちに乾きました。というわけで早速・・・。

色鉛筆、乾燥時間がゼロの有難味がとてもよくわかりました。なかなか色が付きませんでしたが・・・。しかし、ある時、私は気づきました。窓際の優しい光がかなり低めに入って私のところまで届いた時に、色鉛筆の色が、とても透明で綺麗に見えたのです。それは、直角に近い角度で画面と相対していた時にはわからないことでした。全然違う色に見えました。本当にビックリでした。夜空や流れ星のしっぽの下地に使ったのはダーマトグラフでしたが、今回はポリクロモスを使いました。

そしてまた乾燥。しかし今度の乾燥は角度に気を付けなくてもいいので安心です。いい感じの跡ができたので、そのまま残したいのです。アクリル絵具は痩せますが・・・。

画面の表情が変わった気がしました。しっとり深みのある感じとでも言うのでしょうか。それから、気付いたら5/20は世界ミツバチの日でした。この日にシュトックマーの蜜蝋クレヨンを使うことが出来て嬉しいです。偶然というのがさらに。

そして、ついに、オイルパステルの準備です。

今日は他の用事を色々済ませたので、絵の時間をあまり取れませんでした。この和紙を切ることが出来て、とても嬉しいです。オイルパステルは、今までの感じだとかなりベットリくっつくので、今までのが全部消えてしまったら嫌だなと思い、転写を試みることにしました。付き過ぎたら、削り取るなどもしてみます。

そして翌日・・・

毛の長い和紙のような紙の場合、油分が多いと繊維が絡みつくようです。少し前にダーマトグラフを同じ紙に塗ったのですが、かなりまとわりついてきて苦戦しました。今回はカワチ画材のオイルパステル(ビッグの小さいの)を使用。こちらの商品もオイルたっぷりがうりのひとつで、絡みついて来るのはオイルのせいかなと思いました。

画面への付着具合を調整するために、あの手この手でだんだん薄くしていったのですが、かなりロスが発生し、とても申し訳なく思いました。

そしてついに、全体を撮影しました。

先端は紙を貼る予定でしたが、塗ってみることに。そして、ついに星が描き加えられました。

ずっと気がかりだったので、先端を描くことが出来、ほっとしました。そして、紙を貼らなくて良かったと思いました。大変美しい体験をできました。

お山は、元々、黒い壁と一体化させようとしていたのですが、だんだん、絵は絵という感じになってきたので、側面を黒一色にし、前面はちょっと違う感じにしたくなってきました。

そして、塗りました。

だんだん、完成に近付いて来て嬉しいです。その後、また星と山に秘伝のタレを。そして乾燥。

見た目があまり変わらないと、投稿がつまらないかしらと思ったりもし、しばらく投稿していませんでした。少しずつ先頭の星を濃くしていきました。

タグ、書ききれなかったのですが、シュトックマーの蜜蝋クレヨンなども使っています。それから小川町の和紙も。これは、こちらの作品では支持体なのか、支持される側なのか・・・。

どさくさに紛れて、秘伝のタレを先頭の星に塗るなどもしました。乾燥待ちのついでに次の色を考えたり、モノタイプの刷り取られた側たちに定着スプレーをかけたり・・・。今日中にあと6色刷って、次の段階に進みたい気もしています。

思い切って削ってみて良かったです。何事もやってみるものだなと思いました。オイルパステルのオイルがタップリのせいか、オイルパステル同士はもちろん、色鉛筆とかが溶け出して混ざっている気もします。なんだか面白い。

パールホワイト塗布前に流れ星のしっぽの部分を中心として定着スプレーをかけたのですが、効きが甘かったのかもしれません。かといって、かけすぎると、テカテカするので、あまり好きになれないのです。最近は強引にアクリル絵具で覆うという手法も試したりしていますが、基本的にオイルパステルは使用後が悩ましいです。とはいえ、油分がまだ有効な状態だったために、弾きができたわけで、それは良かったのかもしれません。

夜、ちゃんと固まったかな?と思いつつそっと払い落としました。

かつて固まらないうちに触ってしまい、残念なことになったのでしっかり待つようにしています。とってもキラキラになり少なからず嬉しかったです。

ほんのりキラキラも好きですが、大粒のキラキラはさらに好きです。

その後、ついに岩黒も。

翌朝・・・

糊で細い線を引く練習をひたすらできました。粒は特大ではありませんが大きめです。

そして、夜。そっと払い落としました。

翌朝・・・ポリクロモスを全色使いました。山に棲む、色んな生き物たちを小さな色んな形で描き込んでいきました。眠っているのも居れば、活動中のも居ます。

完成記念に気合を入れ、本日は2灯で撮影。セットを組むのがなかなか大変でした。自然光で撮りたかったのですが、生憎のお天気でした。いつかそのうち、自然光っぽくいつでも撮れるような状態にしたいです。後日、別の光でも撮ってみたいです。

結局M15は一度も車に入れませんでした。

最後までお読みくださりありがとうございます。

この記事は加筆修正するかもしれませんが、一旦投稿して次に進みます。


ご紹介、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

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