ご依頼の絵の制作をさせていただきました。ありがとうございます。

お客様に全世界への公開のご許可をいただき、投稿いたします。

ご依頼をいただけたこと、ご許可をいただけたこと、大変感謝しております。本当に、ありがとうございます。

素敵な画材をわけていただけたこと、色々な方々から様々な形でお力添えいただけたことも大変感謝しております。本当に、ありがとうございます。

はじめは、こんな感じでした。

最後はこんな感じになりました。

Instagramはちょっと写真多めです。

目次

金箔さん、はじめまして。

今回の制作は、これまで使用したことのない画材と触れ合う機会ともなりました(そういった意味でも、お客様に感謝しています)。そのひとつは、金箔です。

クリムトの金

背景に金色を、クリムトのような、というご希望をいただき、自分なりに試行錯誤し金箔を使うことにしました。どうせなら本物をと思い、本物の中でもさらに24Kにしました。私はいわゆる数秘が8(ザックリ!)なのもあり、こういうところにあらわれたのかなと思ったりもしています。

純粋に、ご依頼が嬉しかったからというのもあります。
あと、お客様に対して個人的にささやかなお祝いの意味もありました。

それから、実際、クリムトも純金を使っていた(他にも使っていたかもしれませんが)らしく、お父さんは金細工師だったという情報も得、少しでもクリムトに近づけようと純金にしました。金箔は、定着させる時どうするかによっても表情が変わりますし、純金を使えばクリムト風、というわけでもないのでしょうけれど・・・。

金箔たちは、金沢の老舗からわけていただきました。奇しくも祖父の命日「文化の日」にお届けいただき、祖父が応援してくれている気がしました。

ご依頼の作品に金箔を使用する前につくったものたち

背景の金箔は、最後に入れました。
その前に、別の作品に使用し、少しずつ仲良くなっていきました。

これらの作品について書いていたら、長くなってきたので、別のところに移植しました。

金箔以外に色々記録しておきたいこと

同じのをもう1枚

今回のご依頼は、元々、お気に召していただけた絵がお買い上げ済みだったのがきっかけでした。

ご依頼いただけたことがとても嬉しかったので、基本は同じにしつつも何か特別の絵にしたいと思い、ご希望を伺いました(元々の絵も、特別と言えば、特別でしたが・・・)。特別のご希望を伺うことにより、2つの問題も解決できました。

技術的問題

ご依頼はいつも、お客様のご期待に充分お応えできるだろうか?と不安になったりします。そもそも制作以前にイメージをすり合わせて行く過程に自信がありませんでした。絵以外でも、今までも、お客様のご希望を形にすることに難しさを感じていました。楽しさも、ありましたが・・・。勤めていた時も、社長の思っていることがさっぱりわからなくてすれ違いばかりでした。

そんな私にとって、既にコレ!というのがお互いハッキリ見えている状態でご依頼いただけたのは、とても有難いことでした。ほっとすると同時に、まったく同じものを描けるのだろうか?とも思いました。正直なところ、私は自分自身が描いたものでさえそっくりそのままは描けません。トレースも、苦手です(トレースって、簡単なようで難しくないですか?普段はしませんが、今回は特別、トレースしてみました)。きっと何か、他に得意なことがあるに違いありません。

ご希望を伺うことにより、ご希望に合わせご希望以外の部分にも少し変更を加えられるようになりました。ご希望以外はそっくり元のままというお話にはならずほっとしました。のびのびと制作させていただけたことにも大変感謝しております。

気持ちの問題

それから、著作権は私にあるとはいえ、まったく同じ(実際は技術的問題がありできませんが)のは元々の作品をお買い上げくださった方にもなんだか申し訳ない気がしました。それぞれ、お考えがあると思うので、私が勝手に思っただけですが・・・。
版画等々なら、ご納得いただけるかもしれませんが、手描きの作品はどうなんだろう?と思いました(版画も手彩色とかありますし、毎回細かい部分で刷り上がりが違うので唯一無二性は充分あるのでしょうけれど、ぱっと見、同じです。その分、お値段も安かったりするそうですが・・・そして部数を限定していたりするそうですが・・・)。
ご依頼くださったお客様にも、直球ではお伺いできませんでしたが、流れでちょっと違う2枚目を制作できることになりほっとしました。

全くそっくりそのまま同じのがいい!ということにならなくて、本当にほっとしました。技術的にも気持ち的にもお応えするのが難しかったからです。

ご依頼の絵は、大きさが違ったのも、私にとっては救いとなりました。元々は葉書大でしたが、お客様の素敵な額に入れていただけることになり、葉書大より一回り小さく調整するなどしました。大きさが違えば、別の絵!(「初めて見たら新作!」「今年描いたのは新作!」等々の新作シリーズの他に、ここでまた謎ルール誕生です。)

天然岩黒と天然群青

24Kの金箔を使用することにした結果、天然石もグレードアップさせることにしました。

今まで、日本画用の水晶末と方解末を使用していました。8番までの大きめの番手をできる限り揃え、比較の実験などをしてきました。が、限界を感じてもいました。

書いていたら長くなったので、別にして投稿しました。

元々の絵にはパンダさんの鼻の周りの下向き三角のエリアにだけ水晶末を使用してありましたが、ご依頼の作品には白は水晶末(今までも天然と書いてありませんが天然です)黒は天然岩黒、青い鳥に天然群青という感じになりました。水晶末は一般的に流通していない3番も使用しました。

今思えば、素敵な額になんとか合わせようと自分なりに努力したのかもしれません。

薄さが重要

今年、様々なものに絵を描き、相性を探ってきました。紙、キャンバス、木・・・。それぞれ、好きですが、描き辛いなと思うこともありました。今回の制作は、お客様の素敵な額に入れていただけてとても嬉しかったです。と当時に、額に入る作品であることが重要でした。縦横もですが、厚さもです。私は盛りがちなので、慎重に進めようと思いました。

支持体は、紙を選びました。ウォーターフォード水彩紙、300g(中厚口)、コットン100%の中性紙です。凹凸を活かせそうな中目にしてみました。元々の絵が和紙だったので、違う紙に描いてみたかったのと、当時和紙に描くことが多くなっていて、過去の作品でコットンペーパーに描いたのを見直したらなんだかコットンペーパーに描きたくなったのでした(出展してお客様にご好評いただけたというのもあります)。紙に描いているとキャンバスに描きたくなったりその逆だったり、色々、行ったり来たりです。支持体が違えば、別の絵!

どんなところにも描いて、これからも制作を楽しみたいので、貴重な経験をさせていただき大変感謝しています。

ついにご依頼の絵に金箔を!

画面の下のほうがちょっと寂しい気もしたので、お客様に流れ星を入れる旨ご提案しました。するとご快諾いただけ、金箔で入れました。楽し気な感じになりました。幸運の色が濃くなりました。と、同時に、ついに本番の画面に金箔が使用されました。

背景は、なかなかできませんでした。勇気が要りました。背景以外だって、どんな素材だって、ドキドキですが、背景は最初にいただいたご希望なので特に、お応えできるかしらと思いました。クリムトみたいな金色・・・。クリムトらしさを、どう表現するか・・・。

クリムトはパブリックドメインになっているので、そっくりそのままにしても権利的には特に問題はありません。しかし、技術的な問題がありました。ヘタに寄せようとしたら、いわゆるバッタもん風になりかねません。かといって私の技術ではそっくりそのままも難しかったです。

それから、アーティストとして何か新しいものを生み出したいという気持ちもありました。クリムトが感じられつつもオリジナリティのある何か・・・。

クリムトについて調べる中で、ある作品について四角が男性、丸が女性を表していることを知りました。四角や丸は、私の大好きなモチーフのひとつ、三角さんの友達です。三角がモチーフたり得るのかという議論はさておき、私らしい絵をつくれそうでした。三角さん以外とも仲良くなることにより、表現の幅を拡げられそうでした。

四角と丸(とハート)には、最初のほうに書いた「ささやかなお祝い」の意味も込めてみました。

実は、金色の背景にはハートをたくさんちりばめようと思っていた頃もありました。しかし、試行錯誤を重ねるうち技術的に難しそうだとわかりました。そこで、四角たちのエリアと丸たちのエリアの間くらいにひとつ入れることにしました(四角と丸も、重ね合わせるなども考えましたが、ごちゃごちゃしてしまいそうだったのでエリア制にしました)。

いよいよ、実際に金箔を使うことにしました。これまでの実験で知った金箔の性質と、私のできそうなことを掛け合わせ、今できる最高の背景をつくろうと思いました。まずは、金色の絵具で四角と丸を描くことにしました。そこだけほんの少し盛り上げるのです(今回の制作は薄さも要求されましたが、薄さの中にもほんの少しだけ盛り上がった部分をつくろうと思っていました。パンダさんの目などもそうです)。

が、問題発生。既に塗ってある金色と同じなので、どこまで描いたのか皆目見当がつかないことがわかりました。というわけで、計画変更。私の大好きなストリングジェルメディウムを使用することにしました(こういうのは思いっきり秘密だと思いますが、思いっきり書いておきます)。今年、ストリングジェルメディウムさんには様々な場面でお力添えいただき大変感謝しております。ストリングジェルメディウムの方が、盛りやすいのですが、金箔が破れやすくもなるので、乾き具合のタイミングが大事でした。しばらく寝かせてから、金箔をと思いました。

問題は、もうひとつありました。マスキングを使えません。背景は、というか金箔は先に!というのを今回学びました。石の粉は、マスキング厳禁です(とはいえ、このエリアはマスキングの必要性は無さそうでした)。かろうじてマスキングできるのは、クローバーやてんとう虫、金色の下地部分などでしたが、正確には出来そうにありませんでした。しかも、この辺りだって剥がれる危険性はありました(マスキングについても書きだすと長くなります)。

なぜマスキングをするかというと、金箔は少しの絵具でもくっつく可能性があるからです。乾いているように見えても、油断できません。マスキングの方法によっては、マスキングの材料にくっつく可能性もありました。

試行錯誤の段階で、リンク先の黒字の大金星2枚目のように、擦り込んだ時に凹凸で表情をつけることができたのを思い出しました。それをしてみることにしました。

マスキングはできないので、砂子を選択しました。砂子なら、もしくっついてしまっても少しですし、払えるかもしれませんし、くっついても味になるのではと思いました。一通り、まきました。金箔のカケラが舞う様子が大変美しく、素敵なひと時を過ごしました。

その後、払って2回目をと思いました(砂子で埋め尽くすには何回か必要です)。が、ここでふとストリングジェルメディウムさんのことが心配になりました。ががっとやったら崩れるんじゃないか?というわけで、計画変更です。背景を一旦金箔で覆うことにしました。砂子のついていない部分に金箔をくっつけることにしたのです。その後なら、ストリングジェルメディウムは平気なのではないかと思いました。多少、四角と丸とハート以外のところにくっついたとしても、砂子により隙間ができているはずなので、そんなにくっつきはしないのではないかと思いました。

久しぶりに「あかうつし紙」を使用しました。金箔を被せストリングジェルメディウムを塗った辺りをおさえてから「あかうつし紙」を剥がしました。今回はうまくできました(初めてのときはちっとも剝がれず苦労しました)。

クローバーの辺りは覆わないようにしました。その後、金箔を払っていきました。砂子部分が覆われてしまいましたがちょっと厚みが増しました。それから、テンペラ画の黄金背景技法のようにピカピカになりました(背景が、ではなく四角、丸、ハートの部分が、ですが。しかも、まったくの平らではなく味がある感じになりました)。だんだん光が変化するのを楽しみました。背景にも一部金箔が残りました。ここはもう、金箔の振る舞いに任せました。居たいなら居て、居たくないんなら退いていただくという感じです。背景は、金箔が残った部分もストリングジェルメディウムを塗った部分と異なるテクスチャになったので、同じ金箔でも別の部分として認識できる感じになりました。光の加減によって色々ですが。てんとう虫は、埋まってしまったかと思いきや無事発掘できました。

ちょうどお客様もシンプルなのがお好きとのことで、一見、何も無い感じですがよく見ると(あるいは光によっては)何か描いてある、そして、もしかしてこれは・・・?という感じのができました。あるギャラリーの方によると、クリムトの金はそっと押してあるそうで、もしかして、今回の制作で最もクリムトの金らしいのは、最初に塗った下地かもしれないとも思いました。想像の域を出ませんが。そのうち実物も拝見したいです。

お客様には要所要所で画像をお届けしていたのですが、最後に送るのが一番ドキドキでした。有難いことにOKをいただき、ほっとしました。

その他思ったことなど

2020年末からアナログの制作を再開し、2021年、およそ1年(これを書いている時点ではまだ丸1年ではありません。この先もさらなる奇跡が起こるかもしれません。)できる限りのことをしました。
絵を本業にするには、画力以外に色々必要だとわかりました。というかむしろ、画力は要らないのではと思えたりもしました。

試行錯誤の結果、ご依頼をいただけました。デジタル時代にはいただいたりもしていましたが、アナログでは初めてです(前後して同じくらいの時期にご依頼のお話を他にもいただけるようになったので、完成を基準として初めてと書きました)。自分の思い付きで描いた絵をお買い上げいただけるのも嬉しいですが、ご依頼いただけるのも嬉しいです。

お客様のご期待に充分お応えできるか、正直なところ自信がありませんでしたが、とにかく取り組みました。今回のご依頼は、伸び伸びと描かせていただけたのも有難かったです。ご依頼というとイラストレーターみたいに何度もやり直しがあったりとかそういったウワサも耳にしますが、私は運が良かったのだと思います。本当に、ありがとうございます。

また出展続きで参っていたので、出展以外でもご縁をいただくことに希望が見えたのも嬉しかったです。出展も大事ですが、今のペースで続けるのは難しいと思いました(毎月出展していらっしゃるかたとか、ホント、神です)。自分に合った方法を模索していこうと思いました。

期限も、ゆったりと設定していただき、大変助かりました。すぐにでもお応えしようと思ったのですが、なかなか進められず・・・お客様の予言通りになりました。
クリムトについて調べる時間、新素材を入手し扱いにある程度慣れる時間が必要だったのもありますが、出展も並行してこなさなくてはならず、時間がかかってしまったことは否めません。オーダーを増やしたいなら出展は控えたほうがいいのかもしれないと思いました。いざというとき対応し辛いので・・・。本当の本当は、出展も言い訳にして、勇気が出なくてなかなか制作できなかったのかもですが。

それから、この1年苦しんだ額問題、解決策のひとつを体験できたのも大変うれしかったです。お客様が、額をご用意くださいました。
これまで、他の作品についても、ご購入後額に入れていただけた事例はあった(本当に、ありがとうございます!!!)のですが、GREEN展で自分なりの仮の額で全くお買い上げいただけず、館山で額屋さんに額装していただき出展(初めの分)し、お買い上げいただけて・・・という流れで、立派な額が必要と思い込んでいました。
しかし、今思えば、追加分は諸事情により額無しで出展しお買い上げいただき、額装もしていただけた作品もあるわけで、よくよく考えてみれば必ずしも額は必要ではないのかもしれません。むしろ、額に入っていることによってご縁をいただけなくなっている可能性もあります。これは他の出展先でも色々思ったことでした。これからは額無しのも増やしていけたらと思いました。やはり額は、お部屋に合わせるとなると究極的には汎用性の高いものよりお客様にお選びいだくほうがいいと思うからです。

もちろん、ドンピシャの場合は、額ごとお買い上げいただける場合もあるのでしょうけれど・・・(お買い上げくださった皆様、本当にありがとうございます!)。

ここまでとにかく書いてみました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。今後、書き足せるかもしれませんし、このままになってしまうかもしれませんが、一旦投稿し、次に進みます。

最近、個々の作品についてしっかり記録して次に進む、ということができていなかったので、久しぶりに出来て嬉しいです。これでも不充分だと思っていますが・・・。そのうち、動画も撮りたいです。こうやって文字がいっぱい並んでるのより伝わりやすいかなと思ったりするときもあります。

それから、今回の制作の元々の絵は、館山で個展をできなかったら生まれていなかったので、シロクロアートさんにも感謝しています。本当に、ありがとうございます。

作例を増やすことにより、オーダーのお客様にも「この人はどんな絵を描けるのか?」が伝わりやすくなると思いました。そして、どんどん描くことにより作例は増やせると思いました。今年1年出展を詰めすぎて大変でしたが、色々描くことができたのは良かったのかもしれません(今後はもうちょっとじっくり描きたいと思ったりもしています)。締切は思いもよらないものをつくらせてくれることもあります。

ありがとうございます。それでは、また。

ご紹介、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

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