葉書大の作品3点目は「秘密の場所2」です。
1はTokyo Artist Book Fair 2021に出展中です。
作品について
「秘密の場所2」はTokyo Artist Book Fair 2021に出展した「秘密の場所」を途中まで描いたものです。
今年アナログ作品の制作を始め、思ったことがあります。
アナログは、不可逆的な変化の連続です。デジタルなら、レイヤーを分けたり元に戻す機能を使ったりして修正ができますが、アナログは常に前に進むだけです。もちろん、削ったり、上から塗り直したりはできるでしょう。しかし、それは全く同じではありません。元に戻したこととは違います。
色々な意見があるかもしれませんが、私はデジタルからアナログに移行した作家のひとりとしてそう思います。
そして、ここのところずっと思っていたことがあります。途中の作品も好きなのです。途中というか、それはそれで別の作品で、完成なのかもしれません。画面に対して手を加えることを残念に思う時があります。しかし、当初別のものをつくろうと思って始めたのですから、それを完成させるためにはさらに変化させなくてはなりません。不可逆的な変化・・・。
この問題を解決する方法のひとつとして、記念撮影を思いつきました。できるときはしています。
もうひとつの解決策は、同じものを複数制作し、それぞれの段階で止めるという方法です。
しかし、私は、まったく同じ絵を描くことができません。世界でたったひとつの作品しか制作できない特性を持っているわけですが、その特性を活かしてユニークさを保証できる一方、そっくりなのをもうひとつ!というオーダーをいただいた時は困ってしまいます。それから、自分自身でも同じものをつくりたくなった時に困ります。
「秘密の場所」も途中の状態が好きになったのですが、画面に手を加えてしまい心残りだった作品のひとつです。SNSであたたかいお言葉をかけていただいたのもあり、近いうちに“あの状態”のところまでもう一度描いてみようと思っていました。そして、今度はそこで止めてみよう、と。
まったく同じのはつくれないので、「前回と同じような色を使って大好きな三角をひたすら描く」という点を同じにして制作しました。
前回のはこちらです。
最終的に、こんな感じになったのですが・・・
その後、天然石の粉をちょっとだけ使いました。絵具も塗ろうかと思っていましたが、検討の結果塗らないことにし、見た目はほぼ変わっていません。
「秘密の場所2」に関するツイートを拾い出しました。
題名は違いますが「郷愁」も「秘密の場所」の仲間です。
額について
「風のおくりもの3」や「山岳地帯の詩」と同じ種類の額です。
天然木なので、ひとつひとつ木目が個性的です。ピンと来たのに入れてみました。
厚み調整材を抜き出してから、作品を取り出すこともできます(他の作品も同様です)。
麻紐のマスキングテープの色を変えてあります。
差し箱も黄袋もありませんが、緑のプチプチ付きです(他の作品も、A5のしっかりした額以外はそうです)。
ありがとうございます。それでは、また。