こちらです。
会期は4.29(木・祝)~6.30(水)(予定)です。
出展の経緯
GREEN展への出展を決め、
試行錯誤の日々を過ごしていたのですが、支持体についても色々検討中でした。
そこで、和紙はどうだろう?と思ったのでした。
先日観光案内所で教えていただいた「紙すきの村」さん
のサイトを拝見したところ、小川和紙を使ったアート展の情報に辿り着きました。もう、受付終了かな?と思いつつ、ダメ元で申し込んでみたところ、OKをいただきました。ビックリ。ありがとうございます。
自由につくらせていただける点や、収蔵していただける点も嬉しく思いました。また、白黒ええよんなので「A4」に反応してしまったというのもあります。
紙すきの村さんは、先日回り切れなかったエリアにあり、次回お邪魔しようと思っていましたが、こういった形でご縁をいただけて、大変感謝しております。観光案内所の方のお話によれば、職人さんと色々相談させていただいて作家が必要としている素材を特注させていただくなどが可能とのことでした。まだどんな紙が欲しいのかよくわかっていなかったので、特注の段階ではありませんでしたが、素材との相性を確認できる企画で、渡りに船でした。
観光案内所では、染めないでも緑色の和紙が東秩父の和紙の里さんにあるということも教えていただきました。GREEN展ということもあり興味津々でしたが、アートの神様がまずはこちらに取り組みなさいと言っているようだったので、和紙の里さんはしばらくそっとしておくことにしました。
制作の様子
制作の過程は、Twitterに投稿していました。様々な形であたたかい反応をいただき、ありがとうございました。
各メディアをどうしていくかも試行錯誤中なのですが、Twitter→こちらのサイトという感じにすると画像処理が楽ということに気付きました。それから、私は忘れることが得意なのですがTwitterに“今”を投稿しておくことにより、Twitterに代わりに憶えていてもらえることにも気づきました。
というわけで、今後この方式にするかもしれません。あるいは、しないかもしれません。
3番のグループ、特厚の紙たちをいただきました。それぞれとても素敵でびっくりしました。番号が記載された付箋が貼り付けられていたり、一覧をいただけたり、誰が誰なのかわかりやすくなっていて他にも色々あたたかさを感じました。個人的に、紙は耳が好きなので、耳の部分を入れていただけていたのも嬉しかったです。母も「んまぁ、素敵な紙をいただいて!」と感動しておりました。
これはもう、全員(21枚という意味ではなく7種類)でひとつの作品になってもらいたいと思いました。寄木細工のような象嵌のような平面作品をつくろうかと思った瞬間もありました。最終的にAdobeFrescoなどのデジタル作品で用いていたレイヤーをアナログで再現したらどうなるのか?の実験をすることにしました。作業している間に誰がどこに行ったのかわかりやすいよう、それぞれ側面に色を塗りました。そう、これらの紙たちには側面と呼べるくらいの幅が存在するのです(塗る人が不器用で側面以外も塗ってしまいましたが・・・)。
絵は、会期に合わせ、自分の好きなモチーフをふんだんに盛り込んだものにしました。
地域によるかもしれませんが、私の棲んでいる辺りは6月半ばから7月半ばがホタルの時期です。以前は、あるところまで毎年ホタルたちに会いに行っていたのですが、最近は新型コロナウィルスの流行もあり、自粛しています。というわけで、ちょっと早いですが、ホタル観賞!
そして、どさくさに紛れて流れ星、山々、木々、草たちなども入れました。実は、直接は描いていないのですが小川も入っています(土手はつくりました。コンクリートなどで工事してないタイプです。地元の方々が日課の散歩をしていそうな、車が通れないくらいの幅のつもりです)。紙すきの村さんが小川町なので、入れてみました(作品としては架空の里山です)。それに、ホタルのいるところは綺麗な小川が流れていそうです。私の心の風景ではそうなのです。
といった感じで、命の輝きを自分なりに表現しました。昔からあってこれからもずっと続いて欲しいものという共通点もあります。ホタルと紙すき。
これまでの実験で和紙の風合いが損なわれてしまうことを残念に思っていた私は、今回の制作で下地を塗らないことにしました。和紙たちひとりひとりと話して、誰にどの部分を担当してもらうのかを決めました。特に残したいと思った繊維の部分や盛り上がりの部分には山になってもらうことにしました(塗ってどれくらい残せるかも実験です)。切って重ねた時点で、絵具を塗らなくてもこのまま作品にできるかもしれないとも思いました。それぞれ、色や表面の様子が少しずつ違うからです。しかし、GREEN展に向けて支持体の試行錯誤をするため、絵具を塗ってみることにしました。
この草は、今回の制作で最も好きなパーツです。複雑な形で切り抜くのが大変でしたが、紙が丈夫で切りやすかったです。他の草もそうですが、色を塗るときも、葉っぱに対して垂直(伝わりますか?)に力をかけても折れることがありませんでした。もちろん、わざと壊そうと思えば簡単に壊せるのでしょうけれど・・・。しまった!と思って確認しても平気な顔をしていました。子どもの頃、画用紙などで工作をしたときは、同じくらいの力をかけたら折れていたと思います(同じくらいって、かなりいい加減な比較ですが)。
あと、紙のお約束で水分により多少反ったりはしました。
この山は好きな感じにできたので、今後、再び描こうと思いました。夢中で描いていたので、どの絵具を使ったか、あまり憶えていませんが・・・。山は針葉樹、手前の木々は広葉樹という感じにしてみました。
その後、色を調整してちょっと暗めにしました。それから、いよいよ接着しました。紙たちは反っていたのですが、接着時にジェルメディウムの水分が良い感じに作用し、重しをしておいたら平らに近くなりました。一気に貼ると重しをかけづらいと思い、数枚ずつ接着しました。
いよいよ、ホタルです。思いっきり蛍光色を使用しました。この紙が最も塗りやすい気がしました。とはいえ、全部の紙について同じ条件で実験していないため、比較はできませんが・・・。7匁ということもあり、裏彩色などしようかと思いましたが、片面だけ塗り進めました。他の紙は2枚使用しているものもあるのですが、裏と表にしたのもあります。しかし、見分けるのが難しくなってしまいました・・・。
そして、遂に画面に穴をあけました。無事あけることができ、ほっとしました。穴たちにはすぐ下の層と一緒に星と蛍になってもらいました。リキテックスリキッドを垂らした紙に、星になってもらったのですが、結局金色にしました。
ホタルは、どこまで増やすか悩みましたが、あまりたくさんでも他が見えなくなってしまうと思い、この辺りで!と思ったところでおしまいにしました。紙を切って貼るというのは、偶然性を排除する制作方法だと思っていたのですが、実際取り組んでみて、特にこのホタルの部分はかなり偶然性を楽しむものだとわかりました。だいたいこの部分に貼ろうと思って仮に置いたりしてみるのですが、実際貼る段になるとずれてしまったりするのです。光が、本当に生きているみたいでした。流れ星も描きました。思いっきりたくさん描こうと思ってうんと描いたら空が別の色になってしまったり、色々ありましたが、最終的にこんな感じになりました。
星と蛍にはストリングジェルメディウムを塗り、天然石の粉の定着の実験をしました。暗いところで光をあてるとキラキラ光ります。最近、キラキラの絵の石の粉をくっつける実験をできていなかったので、久しぶりに出来て嬉しいです。キラキラの絵の定義をもう少し拡げてみようかしらと思っていたところでしたが、やはり石の粉は好きだと思いました。
飛び始めの頃の様子も好きです。
母に見せたら、感動して泣いていました。親が自分の作品を見て感動して泣くというのは、感慨深いものがありました。色んな意味で貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
ありがとうございます。それでは、また。
その後、収蔵証をいただきました。ありがとうございます。とっても素敵な紙でした。