「郷愁」(GREEN展~ここが私の居場所~第Ⅲ章)

どんな順番でご紹介しようか迷いましたが、こちらからにします。

今回、杉の皮入り和紙を支持体とした作品を5点出展しました。

そのうち1点が「郷愁」です。

目次

杉の皮入り和紙を使用した理由

なぜ杉の皮入り和紙?とお思いになった方もいらっしゃるかもしれません。私の好きな紙のひとつだからです。自分の好きな素材を制作に用いると、自分の好きなものに触れていることができ、それだけで幸せな気分になります。

GREEN展の作品を制作するにあたり、支持体の試行錯誤を行いました。そして、出会ったのが和紙でした。私の地域(広域で無理やり含めた感じですが・・・日帰りできなくもない距離です)には小川町があります。細川紙の産地です。細川紙は製作技術が昭和53年、国の重要無形文化財に指定され、平成26年にユネスコの無形文化遺産代表一覧表に記載されました。どうせなら地元の素敵な素材を使おう。アーティストとして地産地消をできたらという思いもあり、和紙たちに会いに行きました。会いに行ける距離の素材というのも理由のひとつです。

そして、ご縁をいただき、小川和紙を使ったアート展 第5期ART on OGAWAWASHI SizeA4 projectに出展したりもしました。

この過程で出会ったのが、杉の皮入り和紙でした。東秩父村の「和紙の里」にそれはありました。「和紙の里」に行った理由は、着色しないで緑の和紙があるということを教えていただいたからです。その話は別の機会に譲るとして、杉の皮入り和紙です。これは、一目見て、私の好きな感じがしました。大きさや風合いが幾通りかありました。そのうち最も小さいものが名刺大でした。さらに、10cm四方くらい、葉書大、全紙(全部四方耳付き)、全紙からつくられたと思しき便せんや封筒などがありました。

何かに使ってみたい!そう思い、わけていただきました。何かに使うというのは大義名分で、かわいいから自分のそばに置いて毎日眺めて暮らしたかったのです。しかしやはり何かに使ってみたくなってきました。

まず使用したのが、Tokyo Artist Book Fair 2021の作品集の表紙と裏表紙でした。

名刺大のもの3枚を真っ二つにしました。
切断した辺にも耳を再生できたらと思いましたが、私の技術では難しそうでした。

そして、GREEN展でも何かしたいと思うようになりました。
ついに、切ったり貼ったりだけでなく絵を描くことにしました。

作品について

まず5点に共通のことです。耳が好きなので、耳が見えるようにしました。フロートのつもりでしたが、額の構造上、高さ制限があり、ほんのりフロートになりました。取り出せない構造にすることもできました。しかし、作品を取り出して別の額に入れるなどしたくなった場合、取り出せないと悲しいと思ったのです。フロート担当は同じく東秩父村の「和紙の里」でわけていただいた短冊を切ったものです。周囲を金色で塗りましたが、もう恐らく見えません。

周囲にも天然石粉末をあしらいました。「郷愁」は木の幹をイメージし、縦のランダムな模様です。木の幹は以前から描きたかったので、こういった形で作品にできて嬉しく思いました。杉の木に見えるかどうかは・・・心の目によります。

天然石粉末に関しては、色々しているうちに何をどこに使ったかなどすっかり忘れてしまいましたが、記録に残っているものについてはお伝えできます。お調べするのに多少お時間をいただくかもしれませんが・・・。例えば、こちらの作品は、周囲に水晶末の8番、それから杉の皮入り和紙の部分にも何か使いました。三角が居ます!尚、大きい方の紙はアルシュ(ピンク)です。

杉の皮入り和紙には、この和紙の原料となった杉が元々居た場所に想いを馳せて三角たちを描きました。三角たちは、Tokyo Artist Book Fair 2021の作品をTwitterなどに投稿した際、ご好評いただき、今後も折に触れて描いてみたいと思ったモチーフです。山、森、木、レコード―キーパーなど、私の好きなものは簡略化すると三角で表現できることに気付き、三角たちに私の好きな色々になってもらうことにしました。何の意味もない三角そのものも、なんだかかわいい形だと私は思います。
今思えば「A」も三角であり、それが3つもあるところとご縁をいただけて大変嬉しいです。山脈のような・・・木が3本のような・・・扉も緑ですし、やはりあらためてご縁を感じました。

題名は、うんと悩みましたが、募集要項に「あなたの描く植物たちはどんな気持ちを表していますか?」とあったのを思い出し「郷愁」としました。私には故郷と呼べる場所がありません。しかし、人生のそれぞれの時期について懐かしく想い出す場所はあります。

「郷愁」が含まれるツイートを拾い出してみました。

杉の皮入り和紙に使用した天然石粉末は水晶末の5番でした。

ありがとうございます。それでは、また。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

目次
閉じる