かねてから気になっていた『クロマトピア』ついに読了。なかなか集中して読めませんでしたが、時間を確保し、一気に読むことが出来、ほっとしました。
というわけで今後のために思ったことを書き留めておきます。
メモメモ。
冒頭と全体的な話
自作の絵具をつくりたい人で予備知識のない人(私みたいな)にオススメ。他にも色々オススメ。知識が豊富な人は、既知の情報ばかりで見掛け倒しで中身が無い本に思える可能性も。私は写真も楽しめた。このあたりも、好き嫌いがわかれるかも?
退色しなくて身体にも安全な顔料を使おうとあらためて思った。本格的な自作は今の環境では難しそう。特定の色や素材だけに絞ってつくるのはありかも。となると、ある程度、というかわりと市販の絵具も使うことになりそう。外注できれば話は別。私は絵具屋さんなのか?絵描きなのか?
と、いうことは、日本画は、ディステンパーの一種?エンコスティック気になる。
人類が最初に手にした色
登場する色や素材
オーカー、チョークホワイト、ランプブラック(油煙)、ボーンホワイト、ボーンブラック
感想など
「人類が初めて使った顔料は、オーカー」なら、私もオーカーから始めるのもいいかもしれない。リモナイト(褐鉄鉱)はどうやって手に入れよう?セラドナイトのテールベルト気になる。緑、好き。
チョーク、「主成分はカルサイト(方解石)、炭酸カルシウム」って最近触れ合ってない方解末さんたちのことをチラリと思い出した。「化石化した植物プランクトン」ってチャートみたい。あれは硬い。二酸化ケイ素。あああ、水晶末さんとも最近触れ合ってない・・・。それはさておき「リンシードオイルを加えると透明になってしまう問題」わかりみが深い。私がこれまで取り組んできたキラキラの絵も、特定の条件下でつぶつぶたちが透明になってしまう問題が。
ランプブラック使ってみたい。自分でつくったら大変だろうな・・・。「青みの黒」気になる。「ランプブラックとニカワを使って墨」ってことは、もう、ランプブラック持ってるのかも?とはいえ最近のはつくりかた違うみたい。『職業は専業画家』の「わらび餅方式」をちらっと思い出した。別の素材をランプブラックと同じくらいの細かさにしたら、どうなるのだろう?
骨・・・骨から絵具を自作する勇気は無い。「食卓の下に」って・・・。それにしても、昔の人はかなり時間をかけて絵を描いていそう。まとめてつくってどこかに保管していたのか?あるいは、つくる人と描く人は別だったのか?それとも今よりゆっくりしていたのか?
文明の始まりとともに
登場する色や素材
エジプシャンブルー(エジプト青)、オーピメント(石黄)、リアルガー(鶏冠石)、ウォード(大青)
感想など
私は熱して色をつくるのは難しそう。毒性があるものや他の何かと混ぜると変色するのも向いてなさそう。「一度育てると後には何も育たなくなってしまった」って・・・。この章のは全部反面教師。
ギリシャ・ローマ文明と色
登場する色や素材
レドホワイト(鉛白)、ティリアンパープル(貝紫)、インディゴ(藍)、マラカイト(孔雀石)、アズライト(藍銅鉱)、レッドレド(鉛丹)、ヴェルディグリ(緑青)、クリソコラ(珪孔雀石)
感想など
鉛、ダメ。染料のための貝塚・・・。紫を自由に着られるところに生まれて良かった。あまり着ないけれど。緑、好き。紫も、嫌いじゃないほう。インディゴ、すごい。「単独で、粉末にひいて顔料として使うこともできる。」アズライトとラピスラズリの見分け方を知ったけれど、これは実用的じゃない。毎回こんなことできない。レッドレド、毒性が強いけど必要不可欠って・・・。ローマ人、シックハウスみたいにならなかったのかな?硫化物と反応して黒変って・・・油彩の他、アクリル画は?とはいえ、どのみち、私は使いそうにない。ヴェルディグリ、めっちゃ綺麗!!!が、毒性。クリソコラの最後のほう、岩絵具を連想。他のもそうかもしれないのに、このページに書いてあるのはなぜだろう?もしかして・・・他に書くことが無かった!?
中世の色
登場する色や素材
ラック(紫鉱)、バインブラック、ケルメス、ドラゴンズブラッド(麒麟血)、ラピスラズリ(瑠璃)、ピーチブラック、レドティンイエロー(鉛錫黄)、バーミリオン(朱)、スマルト(花紺青)、サフラン、ブルーヴェルディター、グラファイト(黒煙)、ネイプルスイエロー
感想など
ラック、すごい。バインブラック、木炭のまま使ってみたい。現在はヤナギ。ヤナギは好きな木のひとつ。というか木はたいてい好き。発色がよく扱いが簡単な顔料がいちばん。大切なのは、楽しみながら続けること。
書字インクの色
登場する色や素材
ゴールインク(没食子インク)、ビスタ、セピア、ウォルナット(クルミ)
感想など
天然のインクでも「こすったり洗ったりしても落ちない」ものがあることを知った。墨よりも定着性が良いらしい。ゴールインク、すごい。「時間とともに色が濃くなり、最終的には紫がかった深い黒になる」っておもしろい。これで何か描いてみたい。アスファルトに天然のがあったとは。ウォルナット、半永久的に着色。これでも何か描いてみたい。
染料、レーキ、ピンク
登場する色や素材
アルジカ、ブラジルウッド(ブラジルボク)、ログウッド(アカミノキ)スティルデグレイン、マダーレーキ、コチニール(臙脂)
感想など
耐光性、大事。ログウッドで何か染めてみたい。マダーレーキの耐光性はどうだったのだろう?コチニール通常の3倍。「現代テクノロジーや大規模ビジネスには太刀打ちできない」って自分自身に似ている気がした。たぶん、この最後のところを言いたかったのだろう。他の3倍の紙幅を使って。規模の違いはあっても、もしかしたらこの本の著者も同じことを感じている部分があるのかもしれない。この本の別の場所に、絵具づくりのことが書いてあり、そこから推測。勝手な推測だけれど月光荘をイメージ。そういえば、月光荘も本、出してた。
謎に包まれた色
登場する色や素材
インディアンイエロー、ガンボージ(藤黄)、マミーブラウン
感想など
この章は、どれもこれも好きになれなかった。
色彩の爆発
登場する色や素材
プルシアンブルー(紺青)、クロム酸鉛、エメラルドグリーン(花緑青)、コバルト、ポッターズピンク、ウルトラマリン、カドミウム、セルリアンブルー、マンガン
感想など
カンブリア紀、生き物たちの大爆発を連想。だんだん人工的な感じが強くなってきた。そういえば、この前、プルシアンブルーだけで描かれた絵の実物を拝見する機会を得た。「アルカリに触れると褐色に」ってその効果を狙わない限り使いたくない。変色してほしくないのにするかもしれない。なんだかこの章、毒、多め。マダーレーキの答えが出た。耐光性はそんなになかった模様。ポッターズピンクの毒性が気になる。ウルトラマリン、いっぱい使おうかな。今、この時代に生きているアーティストとして。カドミウムって危ないものと認識していたのだけれど・・・?
色彩の素晴らしき新世界
登場する色や素材
火星色、ジンクホワイト、チタニウムホワイト
感想など
「火星色」って・・・マースブラックとかを連想。ジンクホワイト「待望の無害な白」とのこと。ちなみにリキテックスのパッケージには、亜鉛化合物を含むから環境への放出を避けることって書いてある。水生生物に非常に強い毒性が、と(買うまで知らなくて、買ってこの部分を読んでから使っていない)。この本は、毒性の基準が謎。色々勉強になるけれど、用心しよう。
現代科学が生み出した色
登場する色や素材
蛍光、蓄光、インミンブルー、ヴァンタブラック
感想など
蛍光、そのうちダメになっちゃっても使いたい気持ち、わかる。蓄光も。ヴァンタブラック、ホルベインの「黒すぎる黒・白すぎる白」を連想。
おわりに
自然素材から化学的なものまで、色々知ることができた。今まで呪文みたいと思っていた絵具の名前が、別の角度から少しわかった。安全な画材を使いたい。色褪せない、変質しない画材を使いたい。できれば自然素材で自作したい。しかし、全部は難しそう。
リキテックスから始めて、良かったのかもしれない。対極のところを目指すのがなんだか楽しい。少しずつ進もう。
本を読んで思い浮かんだ疑問を別の形で解消したい。
おしまいのほうの作品集にも惹かれた。形ではなく色で色々表現・・・これは私に合っているかもしれない。
特に気になったのは・・・エンコスティック、バインブラック、ゴールインク、ウォルナット、インディゴ、ログウッド、ランプブラック、ウルトラマリン、セラドナイト、リモナイト。
書影について
書影は勝手に投稿しちゃいけないかなと思い、苦肉の策で側面を撮影してみました。カメラの設定を間違えて、正方形に。撮り直す気力が無いのと加工する気力も無いので、正方形のままにしておきます。
私がもし本を出したら、宣伝のためなら表紙全体を無断で撮影してどこかに投稿していただくのはむしろ歓迎です。個々にどうぞとお伝えしていると大変なことになるかもしれませんし、確認無しでご自由にどうぞと思います。一部を変更したり、切り取ったり、これつくりましたとかは話が別ですが。
書影を撮影して投稿って、宣伝になるのに著作権がどうのってなんだかなと思います。それに、切り取るのも、「特にここが好き」みたいにご紹介いただけるのならむしろ嬉しいです。私も接写とかしているので・・・なんだかわかります。
『クロマトピア』については何かNGのご連絡をいただいたわけではありませんが、念のため。もしかしたら、このしましまさえも著作物、になるかもしれませんが・・・。それから、私が本を出した時も、出版社がダメという感じならダメになるかもしれませんが、そもそも、ダメなところから出さないようにする予定です。