最近、油絵の画材を購入しました。
油絵を描きたくなったわけではありません。
ある実験をしたくなったのです。
それは、こちらと関係あります。
オイルパステルを油絵用のオイルでとかすのです。
色々調べて、ルフランのスパイクラベンダーオイルにしました。
ルフランのスパイクラベンダーオイルにした理由
スパイクラベンダーを選んだのには、いくつかの理由があります。幾つかが重なり、決めました。ルフランにしたのは、ほぼ偶然です。
臭いのは苦手
私は、臭いのは苦手です。臭いと言っても、もしかしたら他の誰かにとっては大好きなニオイかもしれず、なんとも微妙なところですが、少なくとも、私にとってニオイがキツイのはダメでした。油絵は臭い。と思っていました。だから、描かないでいました。
スパイクラベンダーオイルは、調べた限りではテレピンともぺトロールとも違うニオイのようでした。賭けでしたが注文してみました。開封前からほのかに香っていました。私が好きな香りでほっとしました。ほっとしたのですが、この話には続きがあります。それはまた別のところで書きます。
乾燥はゆっくりがいい
アクリル絵具で、乾燥を気にしながら急き立てられるように制作していたので、もっとゆっくりじっくり描きたいと思うようになりました。油絵の油には揮発性のものと乾燥性のものがあることを知りました。揮発性のものであれば、ベトベトにならないのではないか?染みもできないのではないか?と推測しました。揮発性のオイルのうち、最もゆっくりなのがスパイクラベンダーオイルでした。「ゆっくり」がどのくらいかわかりませんでしたが、とにかく試してみることにしました。
黄変しない
揮発性のオイルのうち、例えばテレピンは黄変すると言われています。黄変は困ります。というわけでテレピンは選択肢から消しました。それに、ニオイもきつそうなので、どちらにしても嫌でした。スパイクラベンダーは、特段、黄変はしないようだったので、安心でした。
溶解力高め
今回、油彩用のオイルを使う目的は、オイルパステルをとかすことです。溶解力は重要でした。
ニオイの気になるぺトロールの仲間にオドレスぺトロールがあることを知りました。無臭なのは有難いのですが、溶解力がそんなにないことを知り、選択肢から外しました。それにどのみち換気は必要なようでした。ニオイがしないのに体がへんになるのはむしろ怖いなと。
スパイクラベンダーオイルは、溶解力が最強とのことでした。どんなにとけるのだろう?と思い、興味本位で選択したフシも無きにしもあらずです。オイルパステルをうんと重ねて、一気にとかしたりとかしてみたいと思いました。
逆に、とけすぎて困る場合もあるのかもしれませんが・・・最下層はアクリル絵具にするなどしたらいいのかもしれないとか、アクリル絵具は風合いが違うのかしらとか色々考えました。とにかくまずは溶解力を実際に確かめてみることにしました。
絵具の食いつきが良くなる
スパイクラベンダーオイルの特性のひとつとして、油彩では絵具の食いつきが良くなることが挙げられていました。と、いうことはオイルパステルの食いつきも良くなるのでは?と思いました。重ね塗りもしたいので、有難いです。しかし、揮発してしまうのに食いつきが良くなるってどんな魔法なんでしょうか?奥が深いです。
作品の保存性が高まる
実際、作品を長持ちさせるために使用されることもあるようです。作品が長持ちするのは有難いです。
熟睡といえば、ラベンダー。
「熟睡展」という名前の企画展に出展予定の作品の制作に、このオイルを買いました。熟睡といえば、ラベンダー。ほんのり香りが残ったら、ちょうどいいのではないかと思いました。
睡眠のラベンダーは、実際はスパイクラベンダーではなく真正ラベンダーなのですが、真正ラベンダーのオイルは描画用には使用されていないようですし、かつてエッセンシャルオイルを使用し黄変というか茶褐色になっているのを目撃しているので選択肢から外しました。近似値でスパイクラベンダーです。ラベンダーはラベンダーですから。
それに、不眠は、日中のストレスとも関係あるので、日中にリフレッシュしていただけたらという想いもありました。どのくらいで香りが飛んでしまうかわかりませんが・・・。それに、香りが飛んだ後は、真正ラベンダーの香りのつもりになっていただければ、熟睡にもつながるかもとも思いました。
スパイクラベンダーオイルを使ってみた
とにかく、実験しました。
オイルパステルがとけた瞬間、感動しました。もっと色々してみたくなりました。
ナイロンの筆を使ったのですが、油彩紙と擦れて私の手に伝わってくる感じが苦手でした。次回は別の何かを使おうと思いました。筆もいろんなのがありますし、筆以外もいろんな方法があるでしょうから、自分に合ったのをそのうち見つけたいです。油彩紙自体は大いに気に入りました。これは奇跡の紙です。これからも仲良くしたいです。
気になる臭気については、先ほどの話の続きです。失敗でした。開封前は素敵な香りでしたが、だんだんきつくなってきました。身体の一部に痺れも感じられるようになりました。目の痛みとかも。これは、疎まれている虫さんも人間も同じなのだと思いました。量が多ければ、人間だってダメになります。狭い部屋が消毒された感じにはなりました。
換気をしたり、作品を別の空間に移すなどし、なんとか眠りました(翌朝、最近にしては素敵な目覚めだったのはスパイクラベンダーのおかげなのか何なのか謎です)。翌日も、作品から樟脳っぽいニオイがしていました。これはもしかして、クローゼットに入れておいたら防虫防カビとかできるんじゃないかと思える感じでした。アルシュの油彩紙が巨大なムエットと化していました。もう充分香りは試しました。好きな香りでしたが嫌いになりかけていました。どうなることかと思いましたが、風通しの良いところに置くなどし、夜にはずいぶんやわらぎました。同じ部屋に居ても、苦痛を感じなくなりました。ほっとしました。
「熟睡展」は年が明けて2月でした。出展時、同じ調子で臭気を発していたら、かなり迷惑だろうと思いました。丸1日でほぼ無臭(かなり近付いてくんくんすると香ります)になることを知ったのはかなり大きかったです。まだ間に合う!
2枚同時にはできないこともわかりました。最大、葉書です。これより大きいとかなりきつそうです。うんと小さいのなら、並行して制作もできるかもしれません。あと毎日もしないほうが良さそうでした。そのうち、慣れるのでしょうか?
オイルを塗った後、テラテラしているところに天然石粉末もかけました。
一晩寝かせて、払ってみたところ、案外しっとりくっついていました。完全に揮発したら、取れてしまうのか、元々オイルパステルに多めにオイルが入っているのでくっついたままなのか・・・。アクリル画の時とは違うくっつき方で、粉の落ち方も違う感じで新感覚でした。
そのうち、定着用のスプレーも試してみたいです。どのくらいキラキラが残るのか・・・。どのくらい定着するのか・・・。
今回天然石粉末を振りかけたのは、これまでアクリル系の画材でしていたことを油彩系でしたらどうなるかというのもありましたが、もうひとつありました。それは、あるオイルパステルのワークショップで定着にベビーパウダーを使用していたからです。私が普段使っている天然石粉末は、岩絵具としては大きめの8番くらいまでなのですが、私としては最も細かい8番辺りを使用しました。振りかけることによりオイルパステルの乾燥が促進されたり定着したりといったことが起こるのか?というのも実験したかったのです。あとは、どさくさに紛れて天然石粉末が画面にくっつくかも確かめたかったのでした。
ありがとうございます。それでは、また。