小川町の手漉き和紙でオリジナル支持体(直径36cm円)をつくってみた話

かねてからしてみたいことがありました。幸せの4枚重ねの大きい版をつくることです。

幸せの4枚重ねについては、本館に書いたような気がしていたのですが、書いてないかもしれません。

そして、ついにしました。

試行錯誤の結果、途中は平らでも最後の最後に曲がることがだんだんわかってきました。それから、F8の木製パネルを2枚使用していたのですが、これらは元々、制作の際、台として重宝していました。これが使えなくなってしまうのが残念でした。色々思うところがあり、2組目は新方式。

2組目は糊を大好きなストリングジェルメディウムに変更。やはりこちらのほうが楽しい気が。あわてず騒がずしっとりしたところで貼り合わせました。今回の層は、描画用の層も含まれるので、1組目よりうまくいってほしいです。

水張り、という手もあるのかもしれませんが、最終的に36cmの円で自分の形を保っていられる描画しやすい状態の和紙を得たいので、ちょっと違う気が。4枚貼り合わせた後に切断するのは少なくとも私には不可能に近いですし・・・(葉書大のでけっこうしっかりすることを確認済みです)。1枚ずつ丸にしてから貼っていくのを試しているところです。

その後、同じ日の夜に、意を決し、貼れるところまで貼りました。よくよく考えたら間に合わない気がしてきたのです。2組つくっても、その先が大変ですし、つくるまでも大変です。1組で8枚を使い、しっかりしたものをつくろうと思いました。そして描画まで6月中に完成させます。

最初の一組に、裏表交互に合計3枚を重ねていきました。糊は少な目にし、ひとまずくっつけてから隙間から端っこに足すことにしました。はみ出なくて後始末も楽でした。

今、丸たちは、5枚、2枚、1枚になっています。そのうち全部を合体させ幸せの8枚重ねにします。案外次の週末くらいまでにはできそうな気がしてきました。

翌朝、様子を見てみました。

こちらのツイートの写真は、は糊タップリのほうのその後です。色々外してみたら、かなりシワシワになっていました。しかし、支持体の湾曲は見られず、表面がシワシワになっている感じでした。支持体はまだ全体的にしっとりとしており、この状態ではクレープかピザのように平らになっているのです。ポテトチップスのようにはなりません。おそらく、水分の逃げ場が無かったのでしょう。ストリングジェルメディウムで和紙と和紙以外がくっつかないようにクッキングシートをはさんだのですが、クッキングシートと板の間に吸水用の紙を入れておけば良かったかもしれないと思いました。クッキングシートもシワシワに。それから、謎の横線が2本入っていました。どこかのかたちを写し取ったものかもしれないと思い、「版」を捜したのですが、何が反映されているのかはわかりませんでした。

昨夜5枚重ねにしたほうは、今朝観察したところ表面が比較的綺麗でした。シワシワにはなっていません。吸水用の紙を入れていたからかもしれません。紙を交換し、再び圧をかけました。こちらはF8の木製パネルです。支持体づくりが終わると別のことに使えるので少なからず嬉しいです。新しい方の板も、今後何かに使えそうなので、今回増やして良かったと思います。

糊が多すぎたほうは、端までピッチリくっついたのが嬉しいです。5枚重ねのほうは、端の接着は甘いです。糊が多すぎたほうは、今朝、試しに圧をかけずに乾燥をしてみました。そのほうが水分がはやく抜けるのではと思ったからです。しばらくすると皺が目立たなくなった気がしました。それから、もしかして、湾曲しないで平らな状態のまま乾くかも?と淡い期待も。糊がはみ出てできたバリをなるべく綺麗にしました。糊が浸みてテカってしまっているのは、後ほど上から塗る予定です。和紙の接着にストリグジェルメディウムは向いてるような向いてないような。テカらなくて扱いやすいのを探すのが良さそうです。

5枚重ねのほうを扱った時に思ったのですが、素敵なガッシリ感でした。これなら描きたい感じです。ペラペラのは、正直なところ、私は扱いが難しくて・・・。すべて合わさって8枚になった時が楽しみです。

夜、すべてをひとつにしました。どの面にどれを貼るか、ちょっと悩みましたが、えいやっと。賭けでした。貼ったら、水分を抜かなくてはなりません。一気に貼ればもう、それ以上水分が増えることはありません。タイミングを分けると、水分の抜き直しになるのではと思いました。実際今までそうでした。一気にしてしまったら、何か都合の悪いこともあるのかもしれませんが、それは実際してみないとわかりません。スケジュールを考えるとそんなに時間はかけられません。もっとも、失敗したらすべて水泡に帰すかもしれませんでしたが・・・。

本当は、一旦完全に乾いた姿を見てみたかったです。しかし、それは難しそうでした。吸水用の紙がそのことを教えてくれました。5枚になったのは、けっこうしっかりしてきたので、うまくいけば曲がらない気がしました。それから、2組目の2枚のは、途中まで予想通りあまり曲がりませんでしたが、最後の最後に曲がってしまいました。端まで糊を塗っても曲がることがわかりました。面積に対して薄過ぎると曲がるようです。葉書大のは、こんなことはありません。というわけで、8枚なので賭けですが、乾燥後も平らであることを期待しました。

8枚にしてしまった方が、厚さも出るので側面からの蒸散も期待されました。あ、なんか私はこのオリジナルの支持体のことを植物っぽく思っています。実際、和紙ですし、植物からできています。吸水紙だけでは間に合わない気がするのです。

それから!今回8枚重ねにするときに、私は大好きなペインティングナイフがどこかへ行ったことに気付きました。今朝は筆、今回はペインティングナイフ・・・。今日は行方不明者多数です。「そんなに遠くには行っていないはずだ!」と独り言を言いながら、捜そうとしましたが諦めて別ので塗りました。一通り終えて、支持体になりつつあるものを休ませた後、なんと、実に身近なところで私はペインティングナイフと再会しました(筆とも再会しています。M15の木製パネルの制作についての記事に記載)。よかったよかった。

その後、22時45分ごろ様子を見ました。色々学びました。今後に活かします。さらにその後、吸水用の紙を交換しました。M15の乾燥が進まないので、ずいぶん遅くまで起きていたのです。

翌朝、様子を見ました。いっぱい吸水されていました。片側は平ら、反対側はボコボコです。そのうち、どちらに描くかを選択します。ひとまず吸水紙の交換です。もしかしたら、下地を塗った時も一旦平らにして乾かすのがいいのかもと思い始めました。その時は、くっつかないようにしなくてはなりません。

今回つくった36cmの円形の和紙の支持体は、もう二度とつくらないと思います。大変すぎるからです。今回きりなので、精一杯つくろうと思いました(今後つくる可能性があるのだって毎回精一杯ですが)。もうちょっと小さ目のは、今後つくってみたい気がしています。20cmくらいまでのです。

正午前、吸水紙を交換しました。このときふと思いました。うんと余裕がある時に、また36cmのもつくってみたいなと。これまでを振り返り、大変でしたがなんだか楽しかったからです。しかし、他にもしたいことがたくさんあるので、実行するかはわかりません。

その後、ついに塗り始めました。

ふと思ったのです。完全に乾いてからより、今のほうが紙が暴れないのでは?と。それから「しあわせの8枚重ね」と書いていますが、「末広がりの」ではなかったのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。間違えました。しかし、幸せでも末広がりでも、幸福を祈念しながら制作していることには違いありません。

そして、ついに表面にも塗りました。

もう、支持体の制作というよりは、描画の段階に移行しつつあるわけですが・・・。支持体を自作する場合、どこまでが支持体づくりでどこからが描画なのかが曖昧になるということもわかりました。私としては、和紙の水抜きが終わるまでは支持体づくりは終わっていない気がして、するとこれからも続くわけですが・・・。

一旦、この記事はおしまいにして、「つきのさかな2022」の制作過程は別の記事に書くことにします。ちょうど下地塗りまで終えましたし、下地塗り済みのキャンバスなどを手に入れた感じで、描画編を記録していきます。

あの手漉き和紙たちを切ったのが5/13、本日が5/18。途中で8枚重ねにすることにし本当に良かったです。強度を得られましたし、自分で形を保っていられそうです。紙の大きさに合わせ厚さが必要と学びました。それに、工期を大幅に短縮できたのも嬉しいです。なんだかひとつの円形の舞台をつくるような感じもしていました。36cmの円形の和紙8枚重ねは、1週間ほどでできることがわかりました。もっと要領良くできたら、さらに短くできるかもしれません。水分は抜いても、また貼り合わせたらそのとき水分が入ってしまうので、いっそのこと全部一気に貼り合わせるのがいいのかもと思ったりもしています。とはいえ、一気に貼るよりは、ある程度乾いてからのほうが同時に存在する水分の量が少ないはずなので、内部に水分が留まり辛いかもしれないとも思います。

場所も、時間も、別のことに使えるようになりました。いつか、広い専用のアトリエが欲しいです。

ありがとうございます。それでは、また。

ご紹介、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

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