シュトックマーの蜜蝋クレヨンで「ゲシュタルトの祈り」を描き始めたら思わぬ方向に進んだ話(ミクストメディア)

「熟睡展」の宣伝に力を入れていたら制作がストップ。もやもやし始めました。このままではいけないと思ったので何か描くことにしました。

アナログの制作を始め、この1年くらい試行錯誤してきました。

画材も、お客様のことも・・・。

夢中で描いてしまい、制作過程の途中で写真を撮れませんでした。残っている記憶と言葉だけでなんとか記録しておきます。書き忘れていることもあるかもしれません。制作の過程を記録する試みです。そのうち動画でもしたいと思っていますが・・・。

こちらのツイートの「これだと思った」の「これ」には色んな意味があります。ひとつは「ゲシュタルトの祈り」です。

目次

ゲシュタルトの祈り

最近、描きたいと思っていた絵がありました。それを描くことにしました。

「ゲシュタルトの祈り」を自分なりに絵にしようと思いました。
タイトルは考え中です。あ、「考え中」ってタイトルじゃありません。『ルドルフとイッパイアッテナ』みたいに。あの本、好きです。

それはさておき・・・

この1年くらい、アナログの活動を続けて、色んな体験をして、思ったのは、結局のところ、「ゲシュタルトの祈り」なのだということでした。「~私は私、あなたはあなた。~」色んな訳や解釈が出回っているので、ここでは少しだけにしておきますが・・・

お互い無理しないでスキとスキが重なる点、これをさがし続けようと思いました。おかげさまで、少しずつ見つかって、本当に感謝しています。ありがとうございます。
重ならなくってもOK、重なってもOK。私は、私以外にはなれないのです。今の自分にできることをするしかない、というか、むしろそれがいいって人や物と交流をするのがいいのだと思いました。期待に応えようとしなくてもいいのです。画材についてもお客様についてもそうだと思いました。

さらには「ゲシュタルトの祈り」は絵の活動だけでなく、人生全てに言えることなのだとあらためて思いました。

実は「白黒ええよん」という名前も、「ゲシュタルトの祈り」に関係があります。もちろん白黒のA4、BtoBのラブレターの代筆業にも由来するのですが、当時、私は人生を楽しもうと思い、オセロにも例えられがちな人生について白でも黒でもOK、人間万事塞翁が馬、という気持ちも込めて「白黒ええよん」という名前にしたのでした。何かができてもOKできなくてもOK、どこかにありのままの私がむしろいいんだという人がいるはず、その人に出会うために今、人生の旅をしているのだ、と。

おかげさまで、少しずつ、自分の活かし方がわかってきた気がします。

それはさておき・・・

重色により、これを表現しようと思いました。2色を使って、2人の人物を表現することにしました。私は、透明絵具の色の重なりが好きなのですが、透明絵具は乾燥を待たなくてはならないのが残念でした。乾燥ゼロの画材と思って買ったオイルパステルは、なんだかうまく色を重ねられませんでした。自分なりに気を遣って、なんとか色を出したりしていましたが、思いっきり楽しくできるのとは違いました。

今回の制作は、そんなに時間をかけず、色の重なりをただただ楽しむものにしたいと思っていました。形とか考えてるとまた話がややこしくなりますし、時間がかかってしまいます。1つの作品に時間をかけると濃いものができますが、場合によっては制作の途中に未完了感が増えて、精神衛生上良くないということも学びました。サクサクつくって楽しむ体験をしてみたかったのです。

混色というよりは、重色の気分でした。とはいえ、画面上で混色が生じたとしてもOKにしようと思いました。

「あなたと共に作る作曲家」Yokoさんとのコラボ

最近、絵から曲をつくっていただくというプレイスレスな体験をしたのですが

その時、とても感動して、その体験も絵にしたいと思っていました。「ゲシュタルトの祈り」で言うなら、これはスキとスキが重なった事例です。黄色と青が緑を生み出したのです。言葉にうまくできませんが、とても感動的な体験でした。AdobeFrescoでも描いたのですが、描いた時からさらに時間が経って、その間にもコラボは進んで、色んなやりとりもあって・・・最終的に、アナログの絵も描いてみたいと思っていました。

まだ、すべてが終わったわけではありませんし、これからもずっと続くわけです(そのようなご縁をいただけたことも大変感謝しております)が、一旦ここで何か描いてみようと思いました。感動は新鮮なうちに作品にした方がいいと思います。いつでも、想い出せはしますが・・・。

描きたいものがたくさんあって困ったりするのですが、ここはひとつ、ゲシュタルトの祈りとYokoさんとのコラボ体験を掛け合わせて描いてみようと思いました。

シュトックマーの蜜蝋クレヨン

ずっと気になっていた画材がありました。シュトックマーの蜜蝋クレヨン。重色が得意、発色が綺麗、透明感がある、手につかない、かじっても大丈夫、いいにおいがするなどが惹かれる点でした。

シュトックマーに限らず、クレヨンは絵を描く時に水が要りません。この点も嬉しかったです。

オイルパステルとも似ていますが、蜜蝋でできているところが違うと思いました。

先日ついに購入を決めました。本日、お届けいただき、早速描くことにしました。とにかく描く!

絵のことを自分で全部すると、制作も、宣伝も、お客様対応も色々することがありますが、それぞれ大事なことですが、どうしても偏ってしまうか満遍なく取り組んで中途半端な感じになるか、になりがちでした。やはり、アーティストとしては、制作が一番したいことです。描いてないと、なんかダメなのです。

新しい制作の様子を投稿することにより興味を持っていただき、熟睡展にも興味を持っていただけるかもしれない、と宣伝担当の自分に言い訳をし、制作開始しました。

(昨夜は、楽しみで楽しみで眠れませんでした。熟睡展とは違った眠れなさです。明日がこんなに待ち遠しかったのは、久しぶりです。絵の活動を通して、私はだんだん元気になってきたのかもしれません。嬉しいです。)

シュトックマーの蜜蝋クレヨンの使用感

ほぼ無臭

事前の情報だと、いい匂いがするとのことでしたが、蓋を開ける前から漏れ出ているくらいではありませんでした。蓋を開けても、いい匂いはしませんでした。逆に、クレヨンにありがちなニオイもありませんでした。あれ、苦手です。

近くでクンクンすると、なんかちょっとにおうな、くらいの感じで、描画中の不快感はありません。それはとても有難いことでした。画材の臭気は、私にとって非常に重要です。

硬くてビックリ!色が出ない!

最初に使ったのは、黄色です。緑をつくりたかったのです。

Yokoさんとのコラボ体験も含めて描くのに、Yokoさんや私の色のことを考えないのはおかしいかもしれませんが、またここで悩み過ぎてはいけないので、とにかく2色で表現することにしました。かねてからシュトックマーのクレヨンを重ねてまずは緑をつくりたいと思っていたので、2色は黄色と青を選択しました。緑、好きです。自分で緑をつくれるってとっても嬉しいです。

紙に当てて、こすり付けるように動かしました。思ったより、色が出ませんでした。手や腕がだんだん痛くなってきました。

事前の情報で、硬いという書き込みもありましたが、ここまでとは思わず、実際使ってみて良かったと思いました。この世のお子様たちは、かなりの力持ちなのだろうか?あるいは、この薄い色の重なりを楽しんでいるのだろうか?なとど思いました。購入したのは、ブロックタイプでした。スティックタイプもしくはブロックタイプでも角を使うような描き方であれば、もうちょっと違う色の付き方だったのかもしれません。

あるいは、紙(や他の支持体)でも色の出具合が違うのかもしれません。今回、紙は、小川町の紙すきの村の楮100%手漉き和紙(葉書大、四方耳付き)の裏側です。裏側は独特の凹凸があり、大変美しく、私は好きです。が、この描き方の場合、シュトックマーとの相性はあまり良さそうではありませんでした。凹の部分に、色が入らないのです。凸の部分にも思ったほど残りません。だんだん、和紙の細かい繊維がクレヨンの端にくっついてくるようになりました。こすり過ぎかも?と思いましたがそれでも色はそんなに出ませんでした。ブロックの角を使うのは試しませんでした。

次は、青を塗ってみました。青は、わりと出ました。色によるのかもしれません。

重なったところが綺麗!

その後、なんとか、黄色と青を全体的に塗りました。

はたして、重色部分は事前に得た情報の通り綺麗でした。

これはとても嬉しかったです。

しかし、もうちょっと何とかしたい!もう、手や腕は限界でした。今後、支持体を色々試したいと思いました。紙の他にも、色々してみたいです。


今日は、同じ紙のまま別の画材を使ってみることにしました。

色鉛筆

色鉛筆なら、スティックタイプや角の代用になるのではないか?そう思いました。使用したのは、ファーバーカステルのポリクロモスです。黄色と青の仲間から何色か選んで塗りました。少しは色が濃くなった気も・・・?

描いているうちに、お魚の背中とお腹みたいにも見えて来て、そういえばお魚描きたかったんだ、こうして描けて良かったと思いました。

それはさておき、まだ何かしたい感じがありました。

再びシュトックマー

ふと思い立ち、シュトックマーのクレヨンを削りました。その粉を、画面上に配置し、ドライヤーで融かしました。これは面白い!和紙は、こういう時に便利かもしれないと思いました。

実は、シュトックマーのクレヨンはひどい状態で届いて、私はがっかりしていたのですが、それはこの描き方の予示だったのかもしれません。ちょっと欠けていたり、別の色の小さな小さなカケラが別の色のところにたくさんまとわりついていたり、パッケージも封はされていなくて、小さなカケラがへばりついていたりしました。

紙でこすってくっつかないんなら、自分でカケラをつくってから紙に持って行けばいいのだと思いました。カケラが熱で溶けて和紙に吸い込まれていく様が楽しかったです。

それから最近、紙すきの村の和紙は幸せの4枚重ねにしていたので、今回偶然1枚で描き始めて良かったと思いました。熱が伝わりやすいからです。最終的に何枚にするかは後で考えるとして、ひとまずこのまま進めようと思いました。

今回は裏抜けを気にしなくて良かったのと、水による変形も気にしなくて良かったので1枚で大丈夫でした。
とはいえ、こすることによっても少し曲がるということを知りました。こすり過ぎ?

青のほうが、優勢のようでした。今回ふたりを同じくらいにしたかったので、もうちょっと何かしようと思いました。再びシュトックマーのクレヨンを全体的に塗ってみるなどしましたが、ピンと来なかったので、別の画材を使用することにしました。

リキテックスのパールホワイト

次に思いついたのは、リキテックスのパールホワイトでした。私の好きな絵具のひとつです。ゴールドたちも好きですが、今回は黄色さんと青さんの話なので、パールホワイトが向いていそうでした。これを全体的に塗ってみようと思いました。ごくごく薄く塗れば、乾燥待ちはほぼありません。

塗ったら、これまでの色がちょっと透けて、全体的にちょっと白っぽくなり、輝くようになりました。青が抑えられたのも嬉しかったです。が、黄色も弱まりました。

月光荘のアクリルガッシュ

ここはもう、ひとつ、不透明絵の具の出番なのではないか?と思いました。

リキテックス?とも思いましたが、「かこうかこう虹をかこう!」の月光荘の絵具たちが、自分らにさせてくださいと立候補したので、この重要な役をお願いすることにしました。黄色と青のエリアから、それぞれ反対のエリアに向かって、すっすっと線を描くようにしました。木にも、見えてきました。常々、木の肌を、色々描いてみたいと思っていたのでした。

まだ何かしてみたい気持ちがありました。アクリルガッシュを塗ったところだけ、輝かなくなったのも残念でした。あとからまた塗ろうと思いました。

ダーマトグラフ

次に思い浮かんだのは、ダーマトグラフでした。優しくささささっと色を重ねてみました。小さな部分ですが、月光荘の絵具の上に重なった感じが特に好きになりました。今後、小さくてもいつまでも眺めていられるような絵、細かい部分の色の重なりや質感などにさらにこだわった絵を描こうと思いました。

まだ何かしたい気がしました。

カワチ画材のオイルパステル

カワチ画材のオイルパステルたちが、まだなんだけど?と言いました。そうでしたそうでした。黄色と青をいくつか選んで、縦に勢いよく伸ばしました。楽しかったです。が、かなり覆い隠された気もしました。和紙の凹凸のおかげで、部分的に着色を免れたところもありましたが・・・。

その後、ドライヤーを使ったら、黄色と青が重なった部分が緑になったように思えました。

その後、スクラッチしたくなりました。実際引っ掻いてみたのですが、ピンと来る感じは出てきませんでした。それに、引っ掻いているうちに、和紙の繊維がほぐれ始めたので、もう止そうと思いました。スクラッチは、強靭な塗膜をつくってからにしよう、その塗膜を、出てきてほしい色やテクスチャにしておこうと思いました。

オイルパステルを塗ったからには、画面保護をと思いました。これは、お互いの幸せのために必要なのです。

リキテックスのパールホワイト再び

オイルパステルの画面保護に、定着スプレーを使用する方法がありますが、私は苦手です。熟睡展の制作中に使用し、無理だと思いました。使用するなら、風の無い暖かい日に屋外で・・・と思いました。

今日は残念ながら、強風が吹き荒れていました。スプレーの粉たちは、噴出後画面に届く前にどこかに吹き飛ばされてしまいそうでした。そもそも、作品だってあっという間にどこかに飛んで行ってしまうでしょう。スプレーを吹きかける時は、手で持っているわけにもいきませんし・・・。画面いっぱいギリギリまで塗らずにマスキングテープで板などに固定してあれば、あるいは大丈夫かもしれませんが。その板さえ、あおられて凄いことになりそうな風でした。

というわけで、上からアクリル絵具を塗ることにしたのでした。これは以前、試したことがありましたが、失敗したので、その失敗を活かして再チャレンジです。塗ったのは、リキテックスのパールホワイトでした。

一通り塗って、全体的な輝きが戻りました。

ここで一旦、記念撮影をし、Twitterに投稿しました。

シュトックマーでサクサク楽しむはずでしたが、こんな展開になってしまいました。とにもかくにも、再び制作出来てとても嬉しいです。色んな画材を使えたのも、結果的には良かったのかもしれません。もうちょっと何かしたいので続けてみます。

続きも書きました。


宣伝担当の自分と約束したので、熟睡展の話へのリンクをそっとここに。

2/27まで参宮橋とオンラインでご覧いただけます。

ご紹介、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

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