漆さん、はじめまして。

ずっと気になっていた材料のひとつ、漆を使用したので、記憶が新しい内に記録しておきます。

「先ほどの27枚」というのは、こちらです。

9月の館山の個展では、可能な限り新しい(私にとって)素材や技法を試すことにしているのですが、その一環で、ずっと気になっていた漆についてどんなものなのか体験してみました。

私には苦手なニオイがあります。画材は、まずこのニオイがするかしないかが重要だと私は思っています。漆は、独特の臭気があることがわかりましたが、耐えられなくはないタイプのニオイでした。ニオイ、ヨシ。

漆は、カブレるという専らのウワサでしたが、今のところ大丈夫です。そう思いたいです。筆を洗う時、間違えて筆先を触ってしまい、指にベットリ漆が付着したのですが、その後赤くなったり痒くなったりということはありませんでした。

ちょっと気になっているのは、目の粘膜です。これは、もう遅い時間だから眠いからなのかもしれませんが、ひょっとすると漆の影響があるかもしれません。しばらく様子を見ます。いつか画材として売られていた揮発性の油を使用した時、似たような状態になった記憶もあります。

筆は、油で洗うということを知りました。これを知らずに筆を使ってしまい、水で洗いました。洗えませんでした。よくわかりました。

漆は専用の部屋に入れて湿度を与えながら硬化させるらしいのですが、普段の環境でどうなるか実験することにしました。一旦投稿して、追記します。とにもかくにも、ずっと気になっていた漆を使うことが出来、嬉しいです。まだ全然使いこなせませんが、和紙に筆で塗るということを実際にできました。これは私にとってはかなり大きなことでした。

そのうち慣れてきたら、興味が持続したら、顔料やキラキラの粉を混ぜたりしたいです。先日実験した木炭の芯の粉も混ぜたりしたいです。

漆は、私の好きな茶色であることも、親しみが湧いた理由のひとつです。塗り重ねるとどうなるのか、気になるところです。うまくいけば小品を9月に出展できるかもしれません。イマイチなら、別の機会に・・・。

尚、8cm四方の紙ですが、漆の水分で少しブリッジを始めました。しかし、乾燥が進むにつれ、平らに戻っていったようでした。これはいつものことです。別の画材を塗った時も、同じだったので焦りませんでした。最後の最後に曲がるかもしれませんが・・・。

今回使用した漆は、播与漆行の生漆です。ひょんなことから、母が漆に興味を持ち、ほんの少し使って、残りを私に使わないかと言ったのです。最初は断っていたのですが、ついに使ってみることにしました。母が使ったのは、割れた陶器の補修でした。母は不器用なはずなのですが、案外しっかり接着していました。室には入れなかったそうです。経過観察をしているのですが、ガシガシ洗っても平気です。母はかなり手荒に扱うのですが、あれに耐えているというのはもう本当にしっかりくっついたのだと思います。きっと、母の愛情が陶器をくっつけたのだと思いました。

私も、やってみようと思いました。気になることはとにかくするのです。縦横3回くらい塗りました。

翌朝、1辺のテープが剥がれ、その辺だけ曲がっていました。そして、私は重ね塗りの比較をしたくなりました。

早速、しました。しばらく置いてから二度塗り、さらに三度塗りと重ねる予定です。曲がり具合や撥水、色などの比較をしたくなりました。昨夜は筆を使ったのですが、アクリル絵具で固まらせてしまったときのようあるいはそれ以上に固まっていたので、うんと硬い筆が必要な時に使うことにしました。もう、これは一生ものです。ずっと使うでしょう。記念の筆です。漆は、たいていのものに塗ることができそうな気がしてきましたし、室に入れなくてもある程度固まるようです。けっこう硬くなりました。もしかして、時期的に湿度が高いからとか?室に入れないといつまでたってもブヨブヨという噂もあったのですが・・・。今回は偶然かもしれないので、室に入れなくてもOKな自分なりの方法を確立したいです。工芸品としてはアウトでも、アートとしてはOKなら私はOKです。

昨年「元祖 山岳地帯の詩」をつくったときの残りを振りかけました。アクリル絵具の破片もあります。100%自然素材ではありませんが、破片以外は自然素材です。漆は、すぐに固まり始めますし、顔料を混ぜ込むのはかなり難しそうでロスも多そうです。振りかけ方式が合っていそう。私にとっては、いつものですが・・・。膠やアラビアゴムなどもそのうちと思っていますが、なかなかとりかかれずもどかしいです。少しずつ進みます。これらは、振りかけ方式ではなく練り込みを試してみたいです。振りかけ方式も試したいですが。

漆がすぐに固まり始めると言っても、完全硬化には時間がかかるようなので、固まり始めが早い(天然石粉末と混ぜて練るのが難しい)というだけなのかもしれないと思っています。アキーラっぽい印象。

漆、2回目の使用感(人体のほう)ですが、ちょっと目の辺りが痺れるような感じがするようなしないような・・・。昨日、取材と高速道路の運転の練習を兼ねて上信越自動車道を走るなどしたので、その影響かもしれず、漆とは断定し辛いです。昨日、かなり紫外線を浴びていたことに帰宅してから気付きました。

そのうち黒漆×天然岩黒なども試してみたいです。

その後、やはり室に入れたほうがいいのかしらと思い、一旦、カッティングマットから外して冷蔵庫の上に引っ越しました。カッティングマットには少しだけ漆がついていました。乾いているような、いないような・・・。冷蔵庫の上は、かつて何かを置いておいたらかなり水滴が付いていて、どうしてこんなに湿るんだろう?と不思議に思った場所なので選びました。和紙なので、湿気が表側まで到達するのではないかと推測しました。うまく固まってくれるといいです。そのうち室も用意してみたいです。

その後、冷蔵庫の上を覆ってみました。

その後カバーを外してみたら、カバーに漆が付着していました。ということはまだ硬化(乾燥)していないようです。うっかり指で触って確認などしなくて良かったです。冷蔵庫の上は、完全入替制で別のことにも使うので、もうちょっと落ち着く場所を探すことにしました。短時間では湿気もあまり得られないようでした。というわけで、再び、湿気は与えずに一晩そっとしておきました。

翌朝、ついに水分を多めに。観葉植物の世話みたいな感じがしました。ムロ!なんとかしたいです。あるいは、このまま霧吹きでこまめに水分を追加していったらどうなるかの実験もしてみたいです。

1回塗りのも、実は乾いているようでいなかった(硬化していなかった)のかもと思い、一緒に霧をかけました。和紙が曲がるとか、そんなのはもう気にしないことにしました。漆を硬化させ、天然石の粉の光がどうなるかを見届けます。

13時近く、水分が蒸発していたので、再び霧吹きで水をかけました。しばらくそっとしておきます。この先、何回霧吹きをしたかは、記録を忘れました。夜は、できませんでした。

ついに、ムロの登場です。

昨日、液状の漆の中に天然石粉末が沈んでしまうのがちょっぴり切なかったり、加減がわからなかったりで、ついつい盛り気味にしてしまったのですが、それが良かったのか、かなりキラキラになりました。写真、うまく撮れませんでしたが・・・。まだ、払い落としていないので、どのくらい残るのかはわかりません。ムロに入れ、硬化を試みてから、払い落とす予定です。

翌朝、好きな感じの光で撮れたのがとても嬉しかったです。


その後、黒漆と木と金箔で制作しました。

その後、こんなこともしました。

そして、筆への回帰。かつてつまづいたのは、筆の後始末でした。やはり筆は便利という結論に。

漆は筆で微調整しつつ薄く薄く重ねていくのがいいのかもしれません。

ご紹介、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

絵を描くのと石を眺めるのが好きです。緑も好きです。SWELLも好きです。名前の由来はFAXDMです。白黒のA4。あとは「塞翁が馬」みたいな意味も込めました。

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